第6話 待ち合わせ?

1 名無しの一般人

祝! ハルのん生還


2 名無しの一般人

ハルのん生きてたの!?


10 名無しの一般人

絶対死んだと思って配信切ってたわ


13 名無しの一般人

オーガに襲われてなかったか? どうやって助かったの?

やっぱ、近くに野良探索者パーティがいたとか?


25 名無しの一般人

なんか近くにソロのヒーラーがいて、その人がオーガを素手でぶっ殺した。ちなみに黒髪の美少女だった。

嘘っぽいけど、切腹して治るところ見たからヒーラーなのはマジだよ


28 名無しの一般人

マジで嘘っぽくて草


34 名無しの一般人

妄想乙


38 名無しの一般人

そんな奴、高ランクにいたか?


45 名無しの一般人

いるわけねーだろ


56 名無しの一般人

そもそもヒーラーは戦闘職じゃない。

下層はモンスターが強くてソロはいない。

オーガを素手で殺せて、しかも切腹する女とか色んな意味で有名人だよ。


よって嘘。


59 名無しの一般人

生きてるのはマジだよ。

同じSランクの火崎ハヤトのパーティも日乃宮ハルカ救出配信してたけど、生存連絡きたっていってたし


61 名無しの一般人

火崎ハヤトは信者がめんどくさい奴多くて嫌い。

本人も言動がやや独善的だし。


79 名無しの一般人

ハヤトの悪口言ってんの?

男として劣ってるからってそういうこと言うの恥ずかしくないのかな……


84 名無しの一般人

やべーぞ、「本物」が出て来ちまった。


90 名無しの一般人

まあ無事ならよかったよ





***




「………はぁ」


 日乃宮ハルカをダンジョン外まで送り届けた翌日。


 私は迷宮高専へ向かうため、いつものように通学路を歩いていた。


 迷宮高等専門学校。


 略して迷宮高専はダンジョンを攻略するために設立された探索者養成機関だ。

 日本で探索者を目指す人間の大半はここに集まると言ってもいい。学園の真下に千年クラスの巨大ダンジョン『墓標迷宮』が存在しているのも特徴だ。


 当然、私も学生として在籍している。


 探索者は魔物を狩ったり、迷宮資源を集めたり、攻略そのものを行なったりする職業だ。


 普段は日課で迷宮に潜って、下層でモンスターを殲滅して自己鍛錬レベリングしている。


 当然、親しい友人とかはいない。


 悲しい。


 それは置いといて、今日の私の足取りは重い。 


 何故か。


 それは昨日の日乃宮ハルカの配信に由来する。


「絶対切腹する必要なかったな………」


 回復能力をみせるためとはいえ、どう考えても変なやつだった。

 そして公開切腹なんて奇行をする根暗女子が、ネットに映像としてぶち撒けられてしまったわけだ。


 気が重い。


 頭のおかしいソロヒーラーとして炎上しているかもしれない。


 怖くてSNSを覗いてない。

 絶対に馬鹿にされてるよ。


 くそっ、人生をやり直したい!

 具体的には記憶を引き継いだ状態で、小学校くらいからやり直したい!


「………ん?」


 妄想をしながらだらだら歩いて学校へ向かうと、校門前でなにやら人だかりができていた。


「校門が混んでる………?」

 

 迷宮探索が主体の学校のため、そもそも生徒の登校時間は基本バラバラだ。状況次第では夜中に迷宮を出て帰る生徒もいるので、人だかりができるというのはそもそも珍しいことだ。


 だが、多少ざわついてはいるが、喧嘩みたいなトラブルではないらしい。


 しばらく耳を澄ませて周りの生徒の話を聞いていると、どうやら校門に生徒が一人立っているようだという事が分かった。


 誰かを待っているようだが、しかし待ち合わせをしているだけで人だかりができる人間ってなんだろう。


 すこし興味が湧いたので、野次馬根性で顔ぐらい見てやろうと、人込みの隙間から校門を覗く。


「............ん?」


 それは綺麗な女生徒だった。


 美しい白髪、整った顔立ち。

 綺麗に制服を着こなして、腰ベルトには超級のアーティファクトと言われている聖剣を指している。


 だが違和感や浮いた雰囲気は一切ない。


 立っているだけで絵になる、という表現は彼女のためにあるのだろうさえ思える容姿。


 というか、アレだ。


 日乃宮ハルカだ。




 昨日、ダンジョン内で出会った少女が、校門前に陣取っていた。





 




 


 


 




 





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