山の
コラベル
山登りは
困った。
山といってもそんなに深くない。沢や谷もそれほどでもない。
でも、遭難しそうだ。隣に廃線となったケーブルカーの跡が残されている。この横を登るか、山アプリの通りに歩くか。
ここは山路。俺は標高300メートルもない山を登ろうとして、山アプリの通りに道を歩いてきた。
しかし、遭難しそうだ。こんなに悪路だったとは。
少し太めの彼女も登山初心者で、靴は登山靴でも運動靴でもなく、普通のカジュアルな紐靴だ。
そう言う俺の靴も年代物のモンベルだ。もっと言うとトレッキング用とは言えない代物だ。
「山アプリめ」
「道がないね」
それから悪態をつくこと50分。何とか登山道に戻れた。
「石畳があるじゃない」
「山アプリが最初からこの道を案内してくれていれば」
彼女は石畳で舗装された登山道迄走って、それから腰をおろした。
今日は運動がてら散歩道と言われる近所の山を登る予定だった。しかし登山口が分からず、ウロウロしているうちに先ほどの獣道とも言えそうな登山道を登る羽目になったのだ。
たまたま俺が登山経験者だったので、山アプリで道を検索することができたのだが。その山アプリですら案内に困るような悪路であったようだ。
「あれ見て」
彼女の声の先を見ると、ケーブルカーの駅の入り口が木の板で塞がれていた。多分あのままケーブルカーの横を歩いて行くと、今頃は木の板に阻まれ行き止まりを引き返していただろう。
山アプリも少し役にたったみたいだ。
山の コラベル @coraberu
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