異世界転生同好会~異常なる者たち・科学の力で無双する~

目玉焼き

第1話第53次実験成功

20**年ツォーキョー・坂東学園校庭

どこにでもある高校の校庭の片隅でそれは行われようとしていた。

怪しげな形状の機械を取り囲む三人組の男女。

その集団のリーダーである六千京里ろくせんけいり天道てんどうは高らかに笑った。

「はぁっはっはっは!さぁ!生徒会が来る前に『53』を始めるとしようじゃないか!!!」

すると校舎の方から何者かが走ってきた。

「ぉぃ!待・・・てや!!!ゴラァ!」

六千京里はそちらの方を一瞥すると言った。

「やっべ!生徒会だ。は、早く起動したまえ!」

早くも生徒会はその大声は彼らの耳に届いていた。

「まぁた、てめぇ等か!!無許可で今度は何をしでかす気だ!」

「(思ったよりもこちらに来るのが早いな)あ、あとどれくらいかかる?」

六千京里の声には段々と焦りが出始めた。

「・・・準備完了。このスイッチを押せば行けます」

準備をしていた男高天原たかまがはら牡蠣がきはそう言って天道にスイッチを渡した。

「スイッチなんざ押させるかぁ!!!!!」

「いいや!押すね!!このスイッチを押せるガッツのある者だけが異世界に行けるのだ!ポチっとな!」


次の瞬間


世界の全てがねじ曲がった。



そこは辺り一面が何もない白い空間だった。

その場には六千京里・高天原・桃源の他にもう一つ存在があった。


その存在は人のようで、そうでないようで

男のようで、女のようで

若者のようで、初老のような


そんな雰囲気を湛えた存在だった。


その存在は一つため息をつくとその口から男のような女のような印象を与える声を発した。


「何なの君ら?ブラックホールを発生させるとか。バカなの?というか何でできるの?」


「異世界に行きたいので!」

六千京里ろくせんけいりの返答にはため息をした。


「そういう話してないよね?いや、そう言う話だったか?」


六千京里ろくせんけいりはそのに話しかけた。


「あなた、『神様』ですよね!もしかして僕たちって『異世界転生』できるんですか?!」


またはため息をついた。


「チッ。どいつもこいつも口を開けば異世界、異世界。今を真面目に生きる努力を怠った愚者ばかりでうんざりする」

そしては続けた。

「お前らは地獄行きだよ。当然だろ?私利私欲で周りの迷惑考えずに地上にブラックホールを出現させた罪は重い」


「そ、そんなぁ」

六千京里ろくせんけいりは肩を落とした。


「そんな軽い感じで残念がるなよ。あと周りの二人ィ!さっきから何にも言わねえけど、何だ?お前らは置物か?」

存在(暫定神)に言われ、この場の紅一点である、桃源とうげんシズネは口を開く「私は別に、センパイと一緒なら何でも良いですし」

高天原たかまがはらも口を開いた。

「同感、何か楽しそうだからやってただけでぶっちゃけ異世界とか興味ないっす。でもそっかぁ地獄行きかぁ(あと、やっぱり桃源って先輩のこと好きだったんだなぁ)」


「え(何この人類、コワイ。あと地獄行きを軽く受け止めすぎじゃね?というかこんな浅い考えで人類滅ぼしたの?浅くない?全体的な雰囲気ノリがその辺の水たまりより浅くない?)」


「あのぅ。一応聞いとくけど、君らの落ちる地獄って「無間地獄ですよね?二千年間孤独に落下した後に他の地獄全ての合計の苦しみの千倍以上の苦しみを36兆2880億年間一瞬いっときの休みもなく受け続けるっていう」

理解わかっててなの、その雰囲気ノリなんだ」

「どうせ地獄に堕ちるなら、笑って堕ちたいじゃないですか」

「そんなノリで行くとこじゃねぇんだよ!!!地獄はァ!!!!!」


ついに神はブちぎれた。


これには三人も恐怖を覚えた。


「何だよ、最近の人類テメエらはよォ!!!現実に目を向けろ!都合の悪い事実を歪めるな!そしてもっと命を尊べや!このドブカスがよォ!!!」

三人は震えあがった。


神はヌルリと体を動かすとゆらゆらと上半身を動かした。

「もう、いいや。そんなに異世界に行きたきゃ行かせてやるよ。毎日が辛くて、死ぬ方がマシな異世界によ。そんで悔い改めろ」


六千京里ろくせんけいりの顔から笑顔が戻った「あ、あの!その世界って魔法はありますか!」


神は露骨に嫌そうな顔をした。

「チッ(ひと預言はなしを聞けやムシケラ)あぁ。あるんじゃねの?」


神が虫を払うようなしぐさで手を振ると、三人の姿が光に包まれた。


「やったー!念願の異世界転生だぁ!」

三人は喜んだ。

「せいぜい楽しめよ。人間ムシケラ?」

「やりましたね!センパイ!」

「いや~一時はどうなることかと思ったっすよ~。ま、また三人仲良く頑張りましょうや」


光が強くなり、思わず三人は目を閉じた。

光が弱くなり、目を開けると目の前には広大な自然が広がっていた。


こうして三人の冒険は始まった。

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