第10話 夏休み前とテスト

「あつっ、この前まで春だったのにね」

ぼーっとしてると桜に話しかけられた。

「ねー、いつの間にか夏だねー」

「うん、そういえば純恋、明後日から」

「おはよっー、2人とも!」

聴き馴染みのある声がする。振り返らなくても「花奏ちゃんと莉緒ちゃんっ、おはよー」

いつもの友達、2人だとわかった。

「ねね、純恋、桜子今週末一緒に勉強してくださいっ、お願いしますっ」と言ってパンッと手を顔の前で合わせる2人。んー、何か来週あったけなぁ。普通に期末テストとかぐらいしかないけどなぁ。あ、テストか。

「いいよー、だけど普段からしてればそこまでは困らないんじゃないかなー?ね、桜」

桜にふると「そうだね、2人は一体この1ヶ月間今までなにしてたんだろうね?もちろん勉強会一緒にしようか。」2人が喜ぶ前に桜と目を合わせて

「「私たちはスパルタだけどね?」」

流石、幼馴染みの所業と言ったところか。ぴったりとハモった2人の声に顔が強張る花奏と莉緒。「ねね花奏、新作のアイス食べに行く予定あったよね」「そうだよねっ、莉緒」

と二人が焦ったように言い出す。そういうとこも可愛らしいけど困るのはこの二人だ。

「2人ともー、テストで赤点とったら一週間、補習があるってきいたよー」

「そうね、補習にかかってもいいのかしら」

「「かかりたくないです」」

桜と目を合わせなくてもわかる。

「「じゃあ、勉強会はしようね」」

桜とハイタッチをかわす。

学校に行くまでにどの教科ができないかきいておく。花奏は基礎はできるが応用は苦手。莉緒は公式から覚えてもらった方がいいかな。対策も軽く練りながら話を続ける。


今日もお昼ごはんを音楽室で食べて授業をぼーっとそれなりに聞き流しながら終える。

「んんー疲れたよ~!純恋っ」と飛び付いてきたのは莉緒だ。

「お疲れさまー、今日は結構ハードだったもんねぇ」

1限に数学、2限に化学、3限に英語。まぁ、その後もそれなりにハードだった。

「ね~、純恋、桜子~」あ、わかった。次に言うこと。

「今日か明日遊びに行かないでしょー?」

「え!?なんでわかったのっ」

「そりゃあ、毎日見てるもの」と桜が代わりに返す。その通りだ。

「んー、別に私達は行ってもいいけどー」

桜の方を見る。桜も頷いて

「2人はテスト後のがいいんじゃないかな」

というと花奏が

「うわーん、2人が意地悪っ」と莉緒とひしっと抱き合う。「2人はもう対策ができてるからってひどいよぉっ」と言われる。

「え、じゃあ今からぶっ通しでカラオケでもいくー?」というと2人が青ざめる。

「そこまで言うってことは今から夜まで遊んでもいいんだよねっ」と笑顔もつけてみる。

「純恋~、さすがにそこまでにしてあげて」

と桜に言われて2人を見ると「テスト、テストやばいけど遊びに行きたい、」「わかる、最近純恋達と遊べなかったしでも化学やばすぎる。何、モル濃度って」「いや、それな。三角関数って何、ほんとに」いや、わかるけども。壊れ始めた2人を見てさすがに可哀相になる。「じょーだんだよっ、テスト終わったら遊びに行こーね」

その後も他愛ない話をしながら、2人と別れて桜と帰路についた。

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砂糖菓子のままでいて 翡翠 くらげ @Yorunokurage_0

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