そっくりな人と出逢った
海来 宙
そっくりな人と出逢った [終]
ざうんざわあの波音に抱かれる私に彼から電話があったのは、静岡の朝だった。大げんかで、それぞれが自分を見つける旅に出ていた。
「なあ、自分を見つける旅をしてたら、自分そっくりな女性を見つけて好きになっちゃったよ」
何を言っているのだろう、私はこれが彼の浮気だと首を三回ひねってから気がついた。
「はあ? 自分と同じ顔を好きになる?」
「違う違う、自分とそっくりなこと、同じ自分を見つける旅をしている女性を見つけたんだ」
ほんの数秒後、肩をたたかれてひえっと振り返る私。何と彼である、どうして?
「ほら、君は今、俺と同じ自分を見つける旅をしている女性だろ?」
同じ……そうか、彼は偶然にも自分と同じ旅をしている私を見つけたんだ。そして私も今そんな彼を見つけたわけで、改めて恋に落ちる。
「ねえ、前は私のこと好きじゃなかったの?」
私は仕返しに意地悪な質問をしてやった。
了
▽読んでいただきありがとうございました。
この小説は「已己巳己」(似た者同士)というテーマに対して書いたもの。
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そっくりな人と出逢った 海来 宙 @umikisora
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