金属アレルギー

ツヨシ

第1話

「私、金属アレルギーなの」

彼女が言う。

俺もそばがアレルギーだからわかるが、親しい人に自分のアレルギーを伝えることは大事だ。

場合によっては、命にかかわる。

彼女とは彼女の告白を受けて付き合いだした。

容姿やスタイルは完全に並以下だが、数年間の女日照りにあえいでいた俺は、その告白を受け入れた。

しかししばらくすると、俺の目の前に美女、おまけにスタイル抜群の女が現れた。

しかも俺は、その女と付き合うことになったのだ。

そうすると不細工で寸胴な女は邪魔でしかない。

気乗り薄のままずるずると数か月の交際を続けてきた上に、おまけに現在二股なのだ。

このままではよくない。

俺は彼女に別れを切り出した。

彼女はすんなりとは別れてくれなかった。

予想はしていたが。

押し問答、修羅場。

別れたくないと言う彼女に、俺のあたりはどんどん強くなっていった。

暴言はもちろん、暴力もふるった。

それも結構手ひどく。

彼女が警察に駆け込んだなら、間違いなく暴行罪で逮捕されていただろう。

しかし彼女は警察には行かなかった。

そして嫌々別れを受け入れたのだ。

彼女と別れた翌日、仕事をし始めた途端、手を中心に全身にひどいじんましんが出た。

上司に告げ病院に行くと、金属アレルギーとのことだ。

俺は金属製品を扱う工場で働いていると言うのに。

まったく難儀なことだ。


        終

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金属アレルギー ツヨシ @kunkunkonkon

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