ふと、リィーンは、窓から門の方向に視線を向けた。


昨日お会いしたカイン様の事が頭をよぎる。



 そういえばカイン様には、罠は作動しなかった


それなら、マリア嬢にも作動しないのかもしれない……?


そうだよね、きっとそんな気がする。


『そっかぁ…』


リィーンは安堵のため息を漏らして、ベッドにゴロンと横になる


もしかしたら、毎日無意味なことをしてたのかもしれない。


あんなに暑い中、外にずっと立っていたのに。




「これからどうしよう……」


そもそも本当にマリア嬢は、来るのだろうか?


私は解放されて、自由に。


自由……


その後は?


誰も脇役のその後なんて気にしない。


解放されたって、

どうしろっていうのよ。


今までは、たとえ少しでもパンが届けられていた。でも、解放されたら?


唯一の食料もなくなる


無一文で、私はどうしたらいいの?


この森を取り敢えず出て行くとして、それから━━


この森を抜けたら街があるかもしれない


街へ行けばなんとかなる?



今の私は

身元不明、年齢不詳、この状況でまともな働き口なんてみつかるだろうか


到底見つかるとも思えない


そもそもこの世界では、どのように働き口を探すのかも分からない




ゲームの脇役なんて、役割を果たしたら退場して、その後の事なんて、誰も気にも留めない。


解放された後、ゲームの中ではどうなったんだろう


私、最悪の場合、死ぬのかな。


一度芽生えた不安が、怒涛の如く押し寄せてくる

たまらなく怖くなっていく。




その不安は大きくなり、心が占拠されていく


たまらなく苦しくて、いつのまにか涙となって溢れてくる


「うぅっ…うっ」


とうとう我慢することが出来ずに、リィーンはいつの間にか号泣していた。


いい歳してみっともないのは分かっている


でも仕方ないじゃない



前世では仕事があったから一人でもなんとかやっていけてた



だけど、ここでは、働いていない


泣き言言っても仕方ないのに


どうしたらいいのか分からない




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なぜか軟禁されていました 涙乃(るの) @runo-m-runo

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