④
ふと、リィーンは、窓から門の方向に視線を向けた。
昨日お会いしたカイン様の事が頭をよぎる。
そういえばカイン様には、罠は作動しなかった
それなら、マリア嬢にも作動しないのかもしれない……?
そうだよね、きっとそんな気がする。
『そっかぁ…』
リィーンは安堵のため息を漏らして、ベッドにゴロンと横になる
もしかしたら、毎日無意味なことをしてたのかもしれない。
あんなに暑い中、外にずっと立っていたのに。
「これからどうしよう……」
そもそも本当にマリア嬢は、来るのだろうか?
私は解放されて、自由に。
自由……
その後は?
誰も脇役のその後なんて気にしない。
解放されたって、
どうしろっていうのよ。
今までは、たとえ少しでもパンが届けられていた。でも、解放されたら?
唯一の食料もなくなる
無一文で、私はどうしたらいいの?
この森を取り敢えず出て行くとして、それから━━
この森を抜けたら街があるかもしれない
街へ行けばなんとかなる?
今の私は
身元不明、年齢不詳、この状況でまともな働き口なんてみつかるだろうか
到底見つかるとも思えない
そもそもこの世界では、どのように働き口を探すのかも分からない
ゲームの脇役なんて、役割を果たしたら退場して、その後の事なんて、誰も気にも留めない。
解放された後、ゲームの中ではどうなったんだろう
私、最悪の場合、死ぬのかな。
一度芽生えた不安が、怒涛の如く押し寄せてくる
たまらなく怖くなっていく。
その不安は大きくなり、心が占拠されていく
たまらなく苦しくて、いつのまにか涙となって溢れてくる
「うぅっ…うっ」
とうとう我慢することが出来ずに、リィーンはいつの間にか号泣していた。
いい歳してみっともないのは分かっている
でも仕方ないじゃない
前世では仕事があったから一人でもなんとかやっていけてた
だけど、ここでは、働いていない
泣き言言っても仕方ないのに
どうしたらいいのか分からない
なぜか軟禁されていました 涙乃(るの) @runo-m-runo
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