第2話

 昼食を終えて訓練所に戻る。作業室のドアを開くと隣席の訓練者が飛んできた。またどうでもいいことを私に伝えたいのか。隣席の訓練者はスマホのニュース動画を突きつける。

「大変大変!また爆発したのよ!」

「またって言うと……○○市の製鉄所すか?」

「違うわよ!感情ゴミの処理場!」

 どっちでも大差ないのでは?と喉元まで出かかったが、持っていたペットボトルの麦茶で無理矢理飲み込む。

「風の流れによってはこっちの方まで塵が飛んでくるそうよ。嫌だわぁ」

 どうだっていい。焼却処理中の感情ゴミにはスギ花粉ほどの害はない。

 それよりこの場が騒がしくて不快だ。昼休憩中は私語が許されているので女性陣は何かしらを喋っている。それが嫌で私はコンビニのイートインで昼食を済ますのだが。

 何だか胃が重くなってきた。揚げ物ばかりの海苔弁なんか食べなきゃよかった。

 気を紛らわすべく爆発+感情ゴミでリアルタイム検索をする。一番上にはニュース記事、少しスクロールすると自称有識者など有名アカウントのつぶやき。更にスクロールするとの無名の誰かのつぶやき。

『当分は感情ゴミ処理場付近の海域の魚は買わないようにしなきゃ』

 感情ゴミは放射能じゃないんだから海域汚染とか発生しないんだがな。

『やっぱり感情ゴミを発生させる感情障害者共は隔離すべき』

 うわ、出たよ。差別主義者。匿名じゃねぇと何も言えないくせに。通報&ブロック。これで私の安寧は確保される。

「はいはい。皆さん、そろそろ午後の作業時間ですよ」

 おっと、スマホをしまわなくては。

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感情ゴミがあるディストピアSF 新棚のい/HCCMONO @HCCMONO

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