バトルジェンダー
白川津 中々
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「三十過ぎた女に人権はない」
そう発言したのは救国の党代表十条百助である。時世に適さないこの一言は彼の政治生命を断つと識者は予想していたのだったが思った以上に支持する人間が多く話題が波及。男尊女卑の復活であるとしてこぞってメディアが騒ぎ立てた。犬猫だのセントラルパシフィックだのきのこたけのこだの対立煽りは万人に対して有効なコンテンツでありマスコミが焚き付けないわけがない。コンプライアンスの関係上直接的な表現は控えられていたがあの手この手でヘイトを誘導。激化に成功する。
こうして空前の男女対立構造はエンタメのビッグウェーブとなり、男憎女憎ブームが到来したのだったが、このブームはそれぞれが持つ潜在的な憎悪を加速度的に助長させていき、いつしか笑えないレベルまで到達。家庭、会社、街中、往来、全ての場所で一触即発の空気が蔓延し敵か味方かの二極化現状が起こる。
狩るか狩られるか。サバンナが如く殺伐とした状況。暴力事件など日常茶飯事となり、多様な犯罪行為が男女それぞれに向けられるようになって日本の治安は崩壊。法治が瓦解した。
こうした惨状について、事の発端となった十条百助は永住先のアメリカにて次のように語る。
「個人的な発言に問題はないとは思っているが些か過激な表現だった。しかし日本には表現の自由がある。今暴れている人間も、表現によって戦うべきだ」
バトルジェンダー 白川津 中々 @taka1212384
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