第17話 結果を見てみた

「待て! お前、どこへ行く?」


 ところが、そんな計画立てる喜びは、三人目の試験監督と思われるハゲに邪魔されてしまった。


「逃げるのならば、試験は破棄と見なす!」


 ⋯⋯試験?

 そうだ、俺は試験を受けていたんだった。


「⋯⋯チッ、さっさと終わらせろ」

「そういうわけにもいかん! 一受験生である以上、足並みは揃えて貰う必要がある!」


 ハゲを見る。

 反射する光に目を痛めたので、視線を少し下ろす。


 すると、いいものを見つけた。


 ハゲの、重心の動きだ。


「おい、ハゲ。お前は、剣術を得意とするな?」

「む? ああ、よくわかったな。そうだ、俺は現在二学年の剣術を担当しているパワルド・マスルだ。あと、これはハゲではなくお洒落坊主だ。勘違いはするなよ?」

「そうか。では、お前の剣術に勝てば、俺の近接技術は満点というわけだ」


 ハゲの目つきが変わる。

 『ハゲ』といった時点で殺気を宿した眼光に、好奇の色が混じった。


「⋯⋯ほう。今年は面白いやつがいるな。いいだろう、特別試験だ! 責任は俺が持つ! おい、ハロルド!」

「はぁ、またですか? 全く、貴方も懲りませんね」


 そして、いつの間にか佇んでいた四人目の試験監督と思われる、軽薄で胡散臭い灰色のキノコ頭に呼びかける。

 妙な一体感だ。

 キノコとハゲというよりは、キノコに群がる甲虫ような構図だな。


「言っておきますが、今回こそ僕は庇いきれませんからね? 本当に自己責任ですよ?」

「ああ、わかっている」


 それが終わると、再び俺の方を向き、顎で横を指す。


「こっちだ。付いてこい、0000番」


 そう短く言い、差した方向へ歩みだす。


 そして、もう一つのグループが試験を受けている、地面に古びたタイルが敷き詰められたそのまで行くと、歩みを止めた。

 先に接近戦闘の試験を受けていたそのグループは、突然の俺の来訪と、ついでのハゲの登場に驚く。


「おい、なんだあれ?」「え、あれって鬼教官とか呼ばれてたやつじゃね?」「いやいや、そんなことよりあれ、悪逆だろ!? なんでここに?」「はは、早速やらかしたのか?」


 ⋯⋯なんとなく察してはいたが、俺の呼び方は『悪逆』で定着してしまっているらしい。

 原作ではまだ名前で呼んでいたことを考えるに、悪評が成長してしまったようだが⋯⋯解せん。


試験会場ここは、昔は武器の訓練に使われていた。今は本格的な訓練場ができて用途が試験くらいしかないが⋯⋯模擬戦には十分な広さだろう?」


 荒々しい前置きを言い切り満足したのか、俺の返事は待たずに、好戦的に笑いながら、後ろの武器立てからロングソードを抜き、投げてくる。

 そして、ゆっくりと自分の分も抜く。


「いつでもかかってこい」


 余裕の表情だ。

 体には、強者特有のオーラのような自信を纏わせている。

 本来なら、これをどう染めてやろうか迷うところだが、残念なことに相手は男、しかもおとこ系のやつだ。

 趣味ではない。


 無念、こんなに生意気なのに、精神メンタルが弱い場合二度と顔を見せられない、という程度の恥しかかかせられないのだ。


 そのため、俺は早く済ませるために、安物の剣を魔力でで強化し、態と遅く斬りかかる。


「⋯⋯おい、貴様、剣術を舐めているのか?」


 ハゲは、当然自分の剣でそれを受け止める。

 そして、悪態をつく。


 感の悪いことに、今起こったことを把握しきれていないらしい。


「胸糞悪いッ。これだから貴族のボンボンは―――ん?」


 俺のいい加減な態度に憤りを覚えている様子のハゲだったが、俺にロングソード振りかぶり叩きつけようとする際に、やっとなにか違和感を感じたようで、少し止まる。


「あ、ありえない⋯⋯っ」


 そしてそのまま、視線をロングソードに向け、顔を強張らせる。


「どうした、早く剣を取れ。ああ、今度は劣化していないものを選べよ? どうやら、ここの備品は手入れがあまり行き届いていないらしい」

「ッ! ⋯⋯あ、あぁ⋯⋯」


 ハゲは息を呑むと、微かに、返事とも、絶望による虚脱感の感嘆ともとれる曖昧な声を喉から吐き出し、またあの武器立てから別のロングソードを取る。


 だが、その構えには、もう先ほどのような覇気はない。

 肩に、まるで牙を失った獅子ライオンのような心細さと頼りなさを背負ながら、その表情は、肉食獣を前にした羊を思わせるものだ。


 ふむ、恥をかかせる前に心を折ってしまったか?


 まあ、希望通り早く終わりそうでなによりだ。


「おい、ハゲ。俺にばかり先手を取らせていいのか? お前ごときでも、一応は教師なんだろう?」


 凍りつくハゲ。

 しかし、すぐに思い詰めたように視線を落とし、剣の柄を握り締めると、いきなり走ってくる。

 やけになったのか、距離の詰め方には技術が感ぜられない。


「う、うあああああああああ!」


 ハゲの目は充血し、膝は笑っている。

 大きく露出したその頭部は脂汗でぎとっとしていて、やはり距離の詰め方も間合いの取り方も滅茶苦茶だ。

 自分でも自分の行動が制御できていないかのような凶行である。


 思っていたよりも遥かにメンタルが弱かったらしい。


 これ以上は大きな恥をかかせにくそうなんで、そろそろ終わらせる。

 刃が潰されているロングソードを、手加減はせずに思いっきりハゲに振り下ろす。


「がっ⋯⋯」


 地に伏すハゲ。


 彼の体が起き上がることはあっても、精神メンタルが立ち直ることは永遠にないだろう。


 そして、既視感デジャヴを感じさせる黙り方をするもう一方のグループに、試験監督などの試験官。


 俺は、なぜかその中にしれっと紛れ込んでいるキノコ頭を見つけると、約束の遂行を求める。


「おい、キノコ、ハゲの言ったことは覚えているな?」

「⋯⋯はぇ? キノコって、え、あ、ぼ、僕ですか?」

「他に誰がいる」

「え、ええ、でも、パワルドさんは気絶していますし、その⋯⋯」

「そうか。ならば、次はお前を倒すというこ――」

「もちろんS評価です! 貴方ほどS評価の似合う方はそういないでしょう! 僕が責任を持って進言しておきます!」


 なんだか知らんが、ここの教師たち思ってたより愚図だな。というか、尋常じゃない小物臭が漂っている。

 本当にあの学園か?

 あの、理由もなくゼフィリアンが死にまくるような物騒な学園。

 俺の覚悟とは裏腹にチョロ過ぎて、逆に心配になってくるんだが⋯⋯。


「ならば、俺はもう行かせてもらう」

「あ、いや、で、ですが、このあとは理事長からのお話が――ヒッ!? す、すみません! 引き留めてしまってごめんなさいっ!」


 止めてきたので振り返るが、目が合った瞬間になぜか怯えだして、途端に謝りだす。

 たしかにゼフィリアンの目つきは悪いが、ここまでくると、さすがにおちょくられているのかと思って苛立ってくる。


 今一腑に落ちないことが多いが⋯⋯。


 まあいい。

 ルシアナの計画が先か。


 ああ、喜びが削がれたかと思われたが、考えたら愉快になってきたぞ。


 これが”ヒカユセ”の魔力!

 忘れかけていた!


 くく、これでルシアナやつは懐柔できたも同然だ。



 }{



「申し訳ございませんが、この先は介抱用の部屋となっていて⋯⋯」

「知っている」

「では⋯⋯」

「見舞いだ」

「あ、お見舞いですか! どうぞ、ご案内します!」


 なんだ?

 急に元気になった?


 まあそれはさておき、俺は今、ルシアナに接触しに、ルシアナが逃げていったと思われる、高位貴族以上専用の優待室に訪れようとしていた。


 ところで、本格的に成長期を迎え、愈々人間離れしてきた聴覚で気配を探っても、ここにはルシアナ以外の気配がない。鼻歌を歌いながら迷いなく進むメイドは、まだ公表されていないはずのルシアナと俺の婚約の内定を知っているのだろうか?

 もしかしたら、このメイドはルシアナの付き人(的な存在)なのかもしれない。


 もうすぐ着きそうなので、とりあえず計画を確認する。


 前提。

 ルシアナは、態態毎日あのような長文の手紙を送ってまで嫌がらせをしたいほど、俺のことを嫌っている。

 さっきほど煽ってきたのも、そのためだろう。

 俺も、ルシアナはそこまで好きではないが、だが俺には婚約を解消されたら困る要因がある。

 前にも確認したが、ルシアナの次に来る女は得体のしれない女なので、まだ安全なルシアナの方がマシなのだ。

 しかし、ルシアナが延命し、それにより一緒に延びたに婚約期間、つまり現在という期間にルシアナ我慢の限界が来たら、向こうから婚約を破棄される可能性がある。それは阻止したい。

 俺も辛いが、少ないくともその女の明細を暴くまでは婚約は維持せねばならない。


 内容。

 婚約を破棄させるのを防ぐには、破棄したくなる要素を潰すのが手っ取り早い。

 今回は、ルシアナのである精神の不安定さを突き、うまく好感度を上げる作戦だ。

 好感度が上がれば、婚約を破棄したくなる気持ちはもはやなくなろう。

 まあ、いくらそれを突いたからといって、この一回でプラスに引き上げるのは難しいので、あくまでマイナスの値を緩和する程度になるだろうがな。

 ルシアナの不安定さを考慮すると、最低でも泣きじゃくるくらいはしているだろう。その泣きじゃくりを、感動の泣きじゃくりに変えるのだ。

 ルシアナを少し洞察しただけだが、なにを言うかは、だいたい組み立てられている。

 例えば、努力を褒める。

 王族として努力は当たり前なため、見え透いたお世辞しか言われていないはずだ。そこを突く。心からの賞賛というものに耐性はなかろう?

 あとは⋯⋯まあ、今のところ、それだけだが。


 着地。

 今ったように、不安定さによるなみだ涙の振れ幅を、負の涙から感動の涙にし、うまく好感度を調節する。

 そうすることで、数少なく残った死亡の予定のうち一つを確実に駄目にする。


 完璧だ。


「ここです」


 そこまで考え終えたところで、メイドが静かに報告する。

 なぜか息だけで発音するasmrスタイルだ。


 介抱室というわりには無駄に豪勢な優待室の扉が、目の前にあった。


 ノックする。


「――後にして」


 棘のある調子の、どこか辛辣さを含む物言いが返って来る。


 来客を拒む言葉だ。

 だが、素直に引いてやるつもりはない。


「そういうわけにもいかない」

「ッ!」


 息を呑む音が聞こえてくる。

 不安定さの中で、その精神が、さらに短期的に激しく揺らいだ。


「入るぞ」


 それに合わせ、あえて少し大きめの音を立て、扉を開く。


 ルシアナは慌てふためいているが、俺は構わず踏み込み、ずかずかと歩いて近づく。


「なんで、あんたがッ」


 相変わらず厳しい態度だ。

 だが、それは予め知っていた。

 計算のうちだ。


「ルアが心配だったからだ」

「ッ!?!?!?」


 計画を脳裏に描きながら話していたが、ところが、脈絡もなく、例の慈悲が働き始めた。

 自然に言葉が溢れる。

 転生して以来、たまにあることだ。

 だが、これは計算はしていなかった。


「は、はあ!? なななななっなに言ってんの! そ、そんなんで私が騙されるとでも!?」


 ルシアナの言葉の棘は、だいぶ抜けている。

 まるで刃のないそれは、その慈悲を返って刺激する。


 なぜかはわからないが、こうしてルシアナと話していると、乗り移った方の俺ではなく、もともとのゼフィリアンの方から温かい感情が湧いてくる。

 もしかしたら、俺が思い出していないだけで、この二人の間には深い絆のようなものがあったのかも知れない。

 そんな考えが浮かぶ。


「さっきの魔法は光魔法第七階位のものだったな。お前があれを使えることには驚いた」

「⋯⋯嫌味? あんたは、独自魔法なんて使ってたじゃない。そういうことなら出ていってくれる? 気分が――」

「――よく頑張ったな」


 なにかが、カチリとはまった音がした。

 行動とは反対に、意識がどんどん客観的になってくる。

 まるで、ゼフィリアンとルシアナの知られざるドラマを、傍観者プレイヤーとして見ている気分だ。

 満たされるような、懐かしいような気分。


 ルシアナの顔はみるみる紅潮する。

 初めて頑張りを褒めたのが俺だったことに、腹を立ててしまったのだろうか。

 だが、やがて落ち着くと、それは杞憂だったことを態度で示す。

 


「⋯⋯うん」



 しおらしくなったのだ。

 俺が主導権を失ったこの体は、もう暫し口を動かす。


「二年前まではなにもしていなかったお前が、この短期間でここまでの魔法を習得したんだ。正直、お前を過小評価していた。改めて―――よく頑張ったな、ルア」


 すると、ルシアナを抱き締めた。


「⋯⋯うん⋯⋯っ! 私、私⋯⋯!」


 は、しばらく俺の腕の中で泣きじゃくった。

 思い通りにいったわけではない。

 決して快い事態ではないが、こんな風な形で収まってよかったのかも知れない。

 俺は心のなかで、細やかに、されど確実にそう感じていた。



 }{



「――ないと駄目なんだからねっ!? ⋯⋯ねぇ、聞いてるの? さっきから黙って! あ、べ、別にあんたの返事なんて欲しくなんかないけれど、でも⋯」


 ルアに近接の試験を受けさせ、送迎用スペースに移動している俺は、早速後悔していた。


「も、もう、なに言わせんのよ! 最低! あんたなんか⋯」


 やかましい。

 この一言に尽きる。


 なにが『よかったのかも知れない』だ。

 それを許容したやつをぶん殴りたい。


 たしかに、計画は成功した。

 いや、それどころか、結果だけ見れば大成功と言える。


 だが、やはり――やかましい。


 今、ルアは腕に絡みついているため、耳元で喋る形となっている。

 そのため、ところどころ入る照れ隠しが頭に響く。


「あ、馬車がある⋯⋯じゃあね⋯⋯」


ーチュッ


 頬に柔らかいものが触れる。

 走り去るルアの顔は、夕日の中でもはっきりとわかるくらい真っ赤に染まっていた。


(やっと行ったか)


 顔はいいので、懐かれて悪い気はしないのだが、なにぶん主導権が戻ってきた際に、心が摩耗したように疲弊していたために、相手をする余裕がなかったのだ。

 キスを喜んでいる暇などなかった。

 思考にない言葉が自然に漏れることはたびたびあったが、主導権が交代することは初めてだった。

 慣れない分、精神への負担でもあるのだろう。


「ゼフィ様ぁぁあぁああ! 会いたかったですぅぅううっ!!!」


 呆けていたため馬車に置いてきたモモの声が聞こえる。その懐抱突進を無心で受け、宥めながら馬車に乗る。引っ叩く気力すら絞り出せなかった。

 用意された学園の来客室まで送られた俺は、泥のように眠った。



 }{



「べ、別にあんたと同じクラスになれるかも、なんて考えてないわよ!」


 この学園の試験は、結果が早く出ることでも有名だ。

 理事長自ら結果に目を通して独断で決めていると言われている。


 まあ、あながち間違いではないが、原作に出てきた本当の事情は、実は魔法で覗いていた理事長が、見込みのある受験生や気に入った受験生を選んでいるというものだ。

 当然結果にも目は通してあるが、基準としてはおまけだ。

 張り出してモチベを出させるのが真の狙いらしい。

 ちなみに、理事長の私情で入れなかった者もいるが、合格者の結果しか公表されないため異議立てるのは難しい。

 理事長は狡猾なのだ。


「あ、あれじゃないかしら?」


 ルアが結果の張り出された表を指す。


「あれか」


 結果は⋯⋯。


〔総合〕

1, ゼフィリアン・ドラグニア・アクシア 9999点

 近接S 魔法S 筆記250+α 理事長の寵愛♡


2, セレナ・ドラグニア・アクシア 600点

 近接S 魔法S 筆記250


3, ルシアナ・ヴァルレア・ファンヌバ・デュエラシア 500点

 近接A+ 魔法A+ 筆記250


4, アーサー・レオカリオス 475点

 近接S 魔法A 筆記175


5, エヴァ・リリス・デ・ラ・ローズ 472

 近接A+ 魔法A+ 筆記222


6, イザベラ・ジェリエット・ラベンダー470

 近接A+ 魔法A+ 筆記220


7,ケンジ・ジョゲラ・ユーゼル

 近接A+ 魔法A+(※) 筆記250


8, ケンジ・ジョゲラ・ユーゼル 365

 近接A 魔法A 筆記125

             ⋮

             ⋮


「はあっ? なんで私が三位なのよ!」


 ツッコミどころの多い結果だ

 まず、他国の貴族が二人もいる。

 花の名前を付けるのは、公国の習わしだ。

 原作にはなかった人物のランクインだ。

 そして、スラム出身のダルクという男がいたはずなのだが、なぜかいない。

 主人公アーサーを裏切る親友と、かなり主要な立場上なのにも拘らず。代わりのように入ったマックスという平民――貴族以降は名前が三つ以上、平民はが二つ、貧民は一つが世界共通の認識――も、原作にはいなかった。


 しかも、俺が一位なのは当然として、二位がセレナ?


 たしかに、セレナは原作より早めに王都に行っていたが、邸宅にいた時はそこまで優秀ではなかった。

 不可解だ。


「リア! 見て、リアが一位よ! 当然だけど!」


 そういえば、セレナはどこだ?

 一度も見かけていない。

 試験の時もいなかったが、どこにいるのだろうか。

 当日試験を受けなくても入れる仕組みがあり、セレナはそこで受験したのかと思っていたのだが、よく考えれば態態難度の上がるそこで受ける理由も謎だ。

 会えば不可解な点が解決できると思うのだが⋯⋯。


 それと、理事長の寵愛というのは、本来主人公プレイヤーがステージクリアすることでしか得られないシステムだった。

 これは、魔法が使えないアーサーを合格させるための理事長の強引な手段で、俺がこれを得たことはおかしく思える。


「えっ、二位の名前もアクシア⋯⋯? ⋯⋯え??」


 そして、ここが一番おかしいことだ。

 それは、主人公アーサーの得点。

 そも、得点の配分は、近接最高125、魔法最高125、筆記最高250の合計五百点が普通の最大、それに接近と魔法のS評価が加わることで限度が600に例外的に変動し、それに理事長の寵愛が加わると、無条件で9999になる。

 アーサーの話に戻るが、従来なら彼はまだ魔法が使えないため、接近A+、魔法D、筆記満点に理事長の愛情で9999点という成績で一位合格する。

 だが、今はあの勤勉さの見られない筆記175、なぜか使える魔法がAの475点で四位合格。

 本当におかしい。


 あと、どうでもいいがケンジって誰だ?


「ね、ねえ、あんたって双子だったの?」


 今まで黙っていたルアが話しかけてくる。

 すると――


「セレナのことなら、腹違いの妹だ。双子ではない」

「へぇ、あんた、妹いたの――」



「――あ、お兄ちゃん! 久し振り! 元気だ⋯⋯は?誰、その女?」



 ――急に、後ろから、セレナの声が聞こえてきた。

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バッドエンドが予定された悪役貴族に転生したので、抗ってみた 消灯 @mamedennkyu

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