雪景色

@tarann

雪景色

この間四歳になったばかりのわたし。今日はお母さんとお父さんと一緒に飛行機に乗ってお出かけ。今日は幼稚園があるが、今日のために急遽休みにしてもらったのだ。今は真冬だ。わたしは暖かい黒色のコートを着ている。人生で初めての飛行機に乗り、無事北海道に着いた。北海道はやっぱり寒いんだなあ……そう思いながらわたしはお母さんとお父さんについてき目的の場所に到着した。それから何時間が経過した今。

「わぁ、つめたぁい」わたしはその白いものに触りながらつぶやく。それもそのはず、こんな体験は今までなかったのだから。わたしは沖縄に住んでいる。沖縄では雪が降らない。沖縄と北海道では気温は真逆だし場所も真逆だ。だが、わたしには北海道に知り合いがいる。わたしのお母さんのお姉ちゃんだ。

 もともと私の母は北海道に住んでいたが、沖縄に住む願望があり沖縄で父と出会い、結ばれたらしい。私の母とおばさんはとても仲が良く、年に必ず一回は会っていた。私が三歳だった頃、母の姉が沖縄まで遊びに来てくれた。おばさんは私に沢山の面白い話をしてくれた。私はおばさんの事をとっても物知りか人なんだなと思った。北海道の事もいろいろ話してくれた。「北海道はとても寒いところなんだよー」「北海道のラーメンは美味しいよーいつか北海道にきてくれたら一緒に食べようか!」とか。わたしは楽しそうに笑顔でお話をしてくれるおばさんの事が大好きだった。それに加えておばさんの話で北海道も好きになった。そんな北海道にわたしは今いる。

 「わぁ、つめたぁい」わたしはその白くなってしまったものに触りながらつぶやく。昔はあたたかく、こんなに白くはなかった。わたしはお母さんとお父さんと他の知らない人達と蓋を持ち、今は白くなったその人に被せる。箱が運ばれ、わたしの元からどんどん離れてく。

「ねぇねぇお母さん、あの箱はどこにいっちゃうの?」お母さんは少し間を空け、こう言った。

「大丈夫。暖かいところに行くだけだよ。北海道は寒いからね。暖かくしないと風邪引いちゃうからね。」そう言い終えるとお母さんの目元からは雪解け水のように綺麗で透明な液体がポロポロと流れてきた。わたしは教えて欲しかった。お母さんが何故泣いているのか。あの大好きで面白いお話をしてくれた物知りなおばさんに。

窓の外では雪がしんしんと降り続けていた。

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