きれいなドブネズミ
@denki_mogura
1日目
今日はシフトに入っていない。何もしなくていいが何もしないで過ごすのは時間を無下にしているようで収まりが悪い。枕の近くのスマホを取り出し適当にニュースを流し見する。政治家の不祥事、スポーツ選手の活躍記事。若干の劣等感を感じてまた眠りに入ろうとするが眠れるわけもない。体を起こして歯磨きする。昼過ぎになろうとしているなか何をやろうというのか。本でも読んでいれば多少は有意義な一日になる。とりあえず読みやすい短編でも読みはじめる。楽しむために読んでいるのか義務感かは曖昧だ。それでも本を読んでいるだけまだいいと納得させている。少なくとも無駄にはならないと信じて。
パソコンを起動させるが特に目的があるわけではない。電気の通っていない金属など無意味なのだからとりあえずはこれでいいのだ。だからといって次の仕事を探す程のやる気もない。いつになったらわくのか。
最近の流行はバックエンドエンジニアでAIを使うことだとか。どっちも少しかじった程度でいまいちわからないが知っているふりぐらいはできる。AIが廃れるとか言っていたえらい人は今やAIイベントの広告に載っている。いやこいつだけではない。許してやるという立場に自分はないこともわかっているつもりだ。
ブログを更新しておこう。内容は機能のほとんど趣味でやったプログラムだ。目を引くようなタイトルでも革新的なことが書いてあるわけでもないが日本の誰かには役に立つかもしれない。そもそもこのブログを見つけられる人がいるかは怪しいけれどやることに意味があると言い聞かせている。一つ記事を書いただけで多少の達成感は味わえている。これでいいと思っているわけではないが少しでも自分を許せていければいい。そうやっていままでを過ごしてしまっているからこれでいいとも言えないが。目の前を、明日をやりくりするので最近は時間が流れていってしまっている。更新したブログを見直していると誤字があったが流し見している映画配信を中断する気にもならないのでこのままでいい。明日以降にまたやりなおせば。どうせいこの記事を修正する前に見る人などほとんどおらずさらに誤字に気づく人などいないだろう。それでも一応誤字を修正しておく必要はある。でなければそこからいろいろなものが崩れていってしまうような気がするのだ。だからといって今すぐ修正するほどの人間でもない。
夜ご飯を何にするのか。それが今日の問題である。冷凍庫を開けてみるが保冷剤と半額シールのついた鶏肉しかない。カップラーメンでもいいがさすがに今日をこれだけで過ごすのはだめなんだろう。近所の中華でいいか。定食の大盛りにすればいいか。十分ではなくともどうにかはなる。閉店は22時だ。遅くなる前に飯は済ましておこう。明日はシフトがあるから遅くなりすぎるわけにもいかない。早く寝ること。これが一番の課題かもしれない。
麻婆豆腐と大盛りの飯を詰め込む。流石に店主とは顔なじみになっているが特に話したりすることもないのはありがたい。腹がいっぱいになることはいいことだ。とりあえず飯を食っておけば生きていける。明日はまたシフトだ。生きるためには金が必要なのだから。
きれいなドブネズミ @denki_mogura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。きれいなドブネズミの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます