サケビババア(2)

 油断していた。

ここは夢なのだ。

あのサケビババアは単体ではあまり強くなかった。

それはどう言うことか…。


「大勢でのお出ましご苦労様だね。」


目の前には13体のババアがいる。

集団となると僕1人で捌き切るのは難しい。


「でも,関係ないんだよねー。」


僕とババア集団の戦闘は始まった。


「1,2,3,4と。」


僕は数えながらババアの首と捻り潰していく。

途中からスピードに慣れてきたのか,ババア達は連携をとりながら僕に攻撃を仕掛けていく。

2体のババアが僕の左右から襲いかかる。

僕はそれを避けて2体の首を蹴飛ばす。


「残り7体ー。」


そう言って1体のババアの首を取ろうとすると,そいつが何かを口にする。


『翹輾婢鉚薷鵐。』


ババアがそう言うとババアの手からたくさんの包丁が発射される。


「ッ!!」


夢だから攻撃は効かない。そんな常識を無視してババアは僕に傷をつけてきた。


「なるほど。これ,普通の夢じゃないよね。」


やはり何かおかしいと思っていたのだ。

やけに僕の身体能力は上がるし,空も飛べる。


「お互い命懸けだね。」


3度目の戦闘で最初に動いたのは,意外にもババア達の方だった。

1体が僕に攻撃を仕掛けてくる。

そのババアの首を僕は掴みマンションに向けて投げる。


「残り6体。もうそろ日も暮れるしペースあげるよ!」

そこからは呆気なかった。

1分もかからないうちに僕はババア集団の首を潰していた。

帰ろうと一歩踏み出した瞬間,周りの景色が一転する。

赤いライトで照らされた商店街だった。

向こうには先ほどまでとは比べ物にならないほどの殺気を纏ったババアがいる。


「本命が出てきたねー。」


おそらく,今まで戦ってきたババアが全員取り込まれた姿なのだろう。

もう戦う気力がないがここで殺されるのだけはごめんだ。


「クソババア殺してゆっくり休んでやるよ。」


やはり戦い始めると先ほどまでとは違い,ちゃんと俺の速さ,攻撃についてくる。

正直に言うとちょっとめんどくさい。

それに包丁攻撃もクールタイムかつ,詠唱なしで飛んでくる。

僕はそれらを避けながらババアの隙を狙う。

しばらく考えていると,突然周りの景色が元に戻る。

そこで僕は自分の目を疑った。街中がババアだらけなのだ。

道路には何人かのクラスメイトの死体が転がっている。


「オッケーお前殺すわ。」


僕はババアに手をかざし,イメージする。


「翔藝ー【飛雲】。」


ババアに向けて5本の光が伸びていき,徐々にババアの体を削る。


『キャァァァァァァ!!』


ババアは叫びながらその場で蠢く。


 そして消えた。


「はぁ,夢とはいえ流石に疲れるわ。」


僕はババアのいなくなった場所で手を合わせてから先ほど目が覚めた工房に戻る。

工房に戻った僕は再び布団に入り,寝ようとする。


夢の中での時計が12時を指す。

すべての歯車が再び動き出す。

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ユメガミサマ ぞーすい @zo_sui

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