ユメガミサマ

ぞーすい

サケビババア

 『キャァァァァァ!!』


悲鳴とも言えるような声で僕は目が覚める。


「何かがおかしい。」


僕が寝ていたのは自分の部屋だ。

なのに今自分がいる場所はどこかの工房みたいでたくさんの木の板が並んでいる。


『キャァァァァァァァァ!!』


「また聞こえた。」


先ほどよりも近い声に僕は内心焦りながらも立ち上がり,声のする方へと進んでいく。


 工房を出た先に見えたのは無人の街。

立ち並ぶマンションに全面ガラス張りだが中が見えない建物,極めつけには至る所にモノレールの線路みたいなものが引かれている。

普段見ている景色とは程遠いそれに僕は恐怖を覚える。


 僕がしばらく歩いていると舗装のされていない狭い道に出る。

そこは街全体を見下ろすことができた。

僕は目を疑った。


「クラスメイト?」


そう,先程まで無尽だったはずの街に僕のクラスメイトがいる。

だけど様子がおかしい。

みんな焦って,何かから逃げているようだ。

みんなの後ろを見てみるが何もいない。

その中の1人が僕に気づき青ざめた顔でこちらを指さしている。

他の人たちも気づいた途端,顔色を変え,何かを訴えている。


 いや,指の先が向いてるのは僕じゃない?


そう感じて隣を見ると…。


『キャァァァァァァァ!!』


居た。

全身血だらけの老婆だ。手には僕のクラスメイトの首がある。

それを見た瞬間僕は感じた。


「あぁ,ここで死ぬのか…。」


不思議と怖くなかった。

だが,恐怖ではない別の感情があることに気づく。


クラスメイトが死んでいることによる悲しみ?


「違う」


やっと夢から解放されると言う喜び?


「違う」


「あぁ,そう言うことか。」


僕は昔からプライドが高かった。

そう,何もせずに殺されることに怒りを感じているのだ。

ならどうする?

答えは出ている。


「テメェも道連れだサケビババア。」


そう言って僕はババアを殴る。

体が軽い。

僕の攻撃はババアに当たりババアを吹き飛ばした。


いける。

いけてる。

今ならなんでもできる。


そう僕は実感した。

まだこの夢が続くと思うとこの先,こんなことしなかったら良かったと思うだろうが今はそれでいい。


「こいつら,全員殺さねぇとまた出てくるだろ。」


そんな予感…。いや,確信があった。


全部殺してやるよ。


『キャァァァァァァ!!』


そう叫びながらババアは僕に向かって走ってくる。

それを僕は飛んで避け,ババアに向けて手をかざす。

そしてイメージする。


僕の手から銃弾が何発か出る。

それをババアは避け,僕に蹴りを入れとうとする。

僕はその足を掴み街の方へ投げる。


ババアは悲鳴を上げながらマンションを次々と突き破っていく。

僕は軽くジャンプしババアの頭を掴んで盾にし,さらに加速する。

案の定ババアは僕の盾となり大ダメージを負うが,自分で首を切断し横腹に蹴りを入れてきた。


僕は先ほどの道に飛ばされる。

ダメージはない。

もう一度ババアの元に行くとババアの首や傷はすでに再生していた。

だが,反応が遅かった。

ババアは僕の手から発射された直径20センチの銃弾によって粉々になった。


ババアは蒸発して消えていった。

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