第10話 本を読もう

 (さて、何を読もうかな~)


 ヘンリーさんと別れて少し、僕は当てもなく本棚だらけの世界をふらふらとさまよっていた

 ただ、本当にただ歩いたわけではない。幾つか面白そうなタイトルを見つけたので少し紹介しよう





 タイトル:一冊目・『魔獣大全・スライムからドラゴンまで。それらの生態と対処法』

      二冊目・『世界史・ロウフィア王国との関わり』


 このようなタイトルを見つけたものの、まだ僕が探しているものは見つからない

 さらに一回ちょっぴりだけ読もうと思っても何か魔法がかかっているらしく、ページ同士が糊でくっついているように離れない。

 多分だけど閲覧料を払うまでは読むなとのことらしい。けち

 

 (まぁいい。取りあえずしたいことを整理しよう。僕が読みたいのは安全に冒険者になるための必須の情報、この世界の情報、そして魔眼の情報だ)

 

 しかし……


 (この世界、元の世界と図書館分類法が違うらしいんだよねぇ……)


 魔法があるからだろうか全く新しい項目が追加されており、何から手を付ければ良いのかさっぱりわからない


 (しかたない、係員さんに尋ねるか)


 そう思い、近くの優しそうな男性の見た目の係員さんへ


 「すみません」

 「はい、何か御用でしょうか」

 「魔眼についての本を探しているのですが何処にあるのかさっぱり分からなくて」

 「魔眼ですね……。あぁ、それなら魔法医学の項目ですね。もしよければご案内いたしましょうか」

 「はい、お願いします」


 案内を断ってもこの広い図書館では迷子になるだけなので素直に頷き、案内をさせてもらうこと暫し


 「着きました。ここがお探しの場所と思いますが大丈夫でしょうか」


 そう言われ、本を少し見ていると確かに『魔眼』というタイトルがずらりと棚の中を埋め尽くしていた


 「そうです!ここです!案内ありがとうございます!」

 「はい、また何かございましたらお気軽に相談してください」


 そう言ってまた通常業務に戻っていく係員さんを見送りながら丁度よさそうなタイトルを探す


 


 隅々まで探すこと数分、僕はついに探し当てた

 そう、この『魔眼図鑑』を!


 サブタイトルもあらすじも何もないけどこんなに分厚いんだ、何かわかることも多いだろう

 よし!それじゃあ早速中央カウンターまで行こうじゃないか!















 「おぉ、沢山見つけてきたね」


 それから数分後少々急ぎ足で中央カウンターまで戻ってきた僕だが、もう二冊本を見つけてきた


 タイトルは『冒険者の心得・基本編』と『世界の少数民族・戦乱を生き残った者達』だ


 戻っている途中に偶然見つけて持って来た


 「では、これらをお願いしま―—」

 「ちょっと待ってくれ。この『魔物大全』と『冒険者の心得』は家にあるからすこし我慢してもらってもいいかな?そしたら後で家で好きなだけ読んでもらってもいいし借りてもいい。どうかな?」

 「分かりました」


 ほっとした顔のヘンリーさんは少し係員さんと話して閲覧料を払い、何やら係員さんが呪文を唱えた後に本を持ってきた


 「ほら、君の本だ。あそこの机で読むんだ。何か覚えたいものがあればこの紙に書けばいい」

 「ありがとうございます!」


 そして僕が彼から本とメモ用の紙と鉛筆をもらった後、机に座って一緒に黙々と読み始めたのであった

 

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絆の黒羽 孤高出ぼっち @yoshiaki414

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