「転校生の前田タノさんです、仲良くしてあげてくださいね。


席は…そうですね、ちょうど空いている白鳥さんの隣で。」


「やった!タノちゃん隣だね!今日からよろしく!」



「タノちゃんはすっごく可愛くてね、優しいいい子なんだ!」







転校初日の私がクラスに馴染めるようにと熱弁している彼女をふと思い出した。


あの日の彼女の瞳は、隠れているもう片方さえもとても輝かしくみえた。


彼女はどこか不思議で、転生というものを信じていた。


転生したら不思議な力が手に入るんだよ


寿命がとーっても長くなるんだって!


皆それを笑い話にしていたけれど、どこか信ぴょう性がある発言だった。


クラスが離れても、彼女とはずっと仲が良かった。


そんな中で起きた去年の事故。


今年から身を包むはずだったセーラー服さえ着る気にならずにベットへ身を沈める日々だった。





ふと、地面が揺れるような感覚がした


突然大きな揺れが家を襲う


扉に棚がぶつかり使い物にならなくなった数秒後、親が自分を呼んでいた。


ドアを叩く音に気を取られていると、

頭に衝撃が走った。


別の棚の下敷きになってしまったらしい。


教科書や小説が大量に詰まったその棚から這い出そうとも虚しく、視界は黒く塗られるばかり。



だけど、もし彼女の言う転生が実現するのならば。


また彼女に会いたい。


白鳥さんに。




1章 完結

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