61 魔王と魔妃の力について
『プリセラ・ウィンゾードが【
『魔王の力の一部を行使可能です』
『行使しますか?』
プリセラの話では、あのとき彼女の前方の空間にそんな文字が表示されたのだという。
「【
どういう意味だろう。
字面から考えると、僕と契る――性行為をした女性のことを指している気がする。
とはいえ、それならアウラや他の女性にも同じ現象が起きそうだし、
「『資格を満たした』って文言があるなら、プリセラは一定の基準をクリアして、そうなった……って考えるのが妥当かな」
「でしょうね」
うなずくプリセラ。
「魔王の力を宿しているあーくんを『王』とするなら、その相手は『妃』――だから【契りし魔妃】なんじゃないかな、ってあたしは考えてる」
「なるほど……」
「そのうえで、あたしが満たした基準が何か、よね。精神的なつながりか、肉体的な――」
言ってプリセラがチラッと僕を見た。
「た、たとえば、エッチした回数とか? あるいは……その、イカされた回数とかもあり得るわね」
頬を赤く染めているのを見ると、かなり恥ずかしかったらしい。
「イカされた……プリセラって、結構激しく乱れるもんね」
「ち、ちょっと、やめてよ、あーくん!?」
プリセラが悲鳴のような声を上げた。
「あ、ごめん……」
言い方がストレート過ぎた。
でも、照れて恥ずかしがるプリセラは、すごく可愛いな。
「リンゼアは、あたしが使った赤い剣を『魔王の力の一端を宿した剣』って言っていたし、あーくんが原因であたしにも魔王の力の一部を使えるようになった、と考えるべきでしょうね」
と、プリセラ。
「それを自由に扱えるようになれば、あたしはもっと強くなれる」
「僕もだ」
力強く告げる僕。
「魔王の力を使いこなせれば、今よりずっと強く――。
そう最強のSランク冒険者になることだって夢じゃない。
いや、むしろ十分に射程圏内になるだろう。
そして、その先には――。
僕が転生後の一つの目標として設定した『最難関ダンジョンクリア』も見えてくるはずだ。
****
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