60 ティナ、秘密と引き換えに僕に迫る
「ねえ、アーロンくんの力って『魔王に由来するもの』なの?」
ティナがいきなり核心をついてきた。
「そ、それは――」
僕は口ごもった。
どう答えればいいんだろう……。
「ま、仮に正解だとしてもうなずくわけないか」
ティナが笑う。
「でもぉ――教えてくれないなら、私が言いふらしちゃうかもよ?」
「……!」
僕は思わずティナをまじまじと見つめた。
「あははは、冗談だってば。ごめんごめん」
が、すぐに彼女は悪戯っぽく笑った。
まったく……本心が読めない女の子だ。
「けど、見返りに私に少しくらい付き合ってくれてもいいわよね?」
「えっ」
「私がいなかったら、アーロンくんは最後の攻撃を撃てなかったわけだしぃ」
「それは、まあ」
「ファーストキスもあげたしぃ」
それはティナが自発的にやったんじゃないか。
いや、初めてのキスという行為を軽く見るわけじゃないけれど。
「だから、ちょっと付き合ってよ」
「付き合う……」
「何回かデートしたり、食事したりするだけでもいいよ?」
まあ、それならいいか。
「ふふ、えっちなことをしたくなったら言ってね? 前向きに考えてあげるから」
「いや、それは色々とややこしいことになりそうだし……」
即座に脳裏に浮かんだのはプリセラとアウラの顔だ。
ちょっと前ならプリセラの顔だけが浮かんだと思うけど、最近はアウラも様子が妙なときがあるからね。
「ざーんねん。誘惑しちゃおっかな?」
「えっ? えっ?」
冗談めかしつつも、結構グイグイ来てない、ティナ?」
「私、バージンだよ?」
ティナはパチンとウインクした。
「奪いたくなったら教えてね」
言うなり、彼女は僕から離れていった。
「――ねえ、さっきあの子と何話してたの?」
入れ替わるようにしてプリセラが近づいてくる。
「べ、別に大したことは何も……」
とても言えないような内容も一部あったからね。
「ふうん……」
言いながら、僕をジロジロ見るプリセラ。
「あ、プリセラは大丈夫だった? さっき、その……」
僕は彼女に耳打ちする。
「魔王の力を使ってたよね?」
彼女は僕が【色欲の魔王】の力をもらったことを知っているから、ストレートにたずねた。
「……ええ。突然、目覚めたって感じ」
プリセラがうなずいた。
****
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