冒険者学園で最底辺の僕が寵愛チート無双 美少女たちが寄ってたかって初めてを捧げてくるし、誰も僕を放っておいてくれないんですけど!?

５９ 昇格クエスト終了

「くっ……アーロン・ゼラ……お前が魔族を倒したんだな……」

　キリカ先生がよろよろと立ち上がる。

　魔族の攻撃を受けて倒れていたけど、まだ苦しそうだ。

「先生、無理をしないでください」

　僕は慌てて駆け寄り、先生を支えた。

「昇格クエストはここまでにしよう……どの道、この付近までで終了予定だったうえに、高位魔族なんてものが現れては、な」

　キリカ先生がため息をつく。

「私は学園に報告しなければならない。アーロン、お前にも後ほど報告を頼むぞ」

「は、はい」

「しかし、高位魔族を倒すとは……お前にそこまでの力があったとは――」

　ジロリとキリカ先生が僕をにらんだ。

　うっ、なんか怪しまれてるかも……？

「い、いやぁ、みんなで攻撃したから案外弱ってたのかも……」

　僕は一応誤魔化してみたけど、理由が弱いなぁ。

　さて、どう言い訳したものか。

　まあ、後で考えよう――。

　少なくとも、僕に魔王の力が突然目覚めてリンゼアを倒すことができました、なんてバレるのはまずい。

「……先生、私はアーロンくんと魔族のやり取りを近くで聞いていたんですけど」

　と、ティナが横から言った。

「あの魔族、実は随分と疲労していたみたいなんです。もしかしたら、高位魔族がこっちの世界に来るためには、相応に魔力を消耗するのかも」

「ほう？」

「それで私やアーロンくんが連係して戦っているうちに、運よくアーロンくんの攻撃魔法が立て続けに直撃して――」

「なるほど、幸運が重なった末の勝利か。まあ、奴は消滅してしまったから、その辺りを確認するすべはないが……」

　キリカ先生がつぶやいた。

「筋は通っているな」

「私も、報告が必要ならアーロンくんと一緒に」

「ああ、頼む。参考になるような意見が聞けそうだ」

　と、キリカ先生。

「とりあえず、地上まで戻ろう。他にも魔族がいないとも限らないし、いつまでもここに居るのは得策じゃない」

　――ということで、僕らは地上まで戻ってきた。

「あの……ティナ」

　僕はこっそり彼女にたずねる。

「さっきはどうしてあんなことを？」

「あら？　だって、あなたが使っていた力って、あまり大っぴらにできない類の力でしょ」

　ティナが微笑む。

　うっ、ますます小悪魔じみてるな。

「リンゼアが何度か言っているのが聞こえたもの。魔王の力、って」

　うっ、やっぱり聞かれてたのか――。

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