57 魔族を討つ者


「【シールド】」


 リンゼアが体の前面に魔力の障壁を生み出した。


「【シールド】」


 さらにもう一つ。


「【シールド】」


 さらに――って、こいつ……!?


「お前が力尽きるまで、俺は防御に徹するさ」


 リンゼアが笑う。


「人間相手に逃げるのか? 臆病者め!」


 俺は挑発してみた。


「はははははは! 何とでも言え! 人間とはいえ、お前が使っているのは魔王の力だ! 逃げたって恥にはならんさ!」


 リンゼアが哄笑する。


 ……挑発は無駄みたいだった。


 どうする――?


 焦りの気持ちがどんどん色濃くなる。


 こうしているうちにも、僕の魔力は目減りしていく。


「打つ手がない……っ」


 と、そのときだった。




「【マジックキャンセラー】!」




 と、そのとき高らかに響き渡った声は――。


「ティナ!?」


《グレイランサー》の治癒魔術師、ティナだった。


 彼女が唱えたのは魔力無効化の魔法だ。


「これは……!?」


 リンゼアの生み出したシールドが一瞬、大きく歪む。


 さすがに消失はしなかったものの、大きく弱体化している――。


「私にはこれが精一杯……あと、お願いね」


 ティナがぱちんとウインクをした。


「上手く言ったら、ファーストキスくらいはプレゼントしてあげる」


 あいかわらず小悪魔だ。


 けれど、これは値千金のチャンス――。


「ありがとう、ティナ!」


 僕は彼女に感謝した。


 さすがはAランクパーティの一員だ。


 こんな切り札を持っていたとは。


「こ、この程度の弱体化で――」

「その程度で十分なのさ」


 僕は最後の攻撃の準備に入る。


「【シールド】の状態が完全なら、さすがにお前を倒すほどのダメージは与えられなかったかもしれない。けれど、ある程度弱まった【シールド】なら――貫ける!」

「お、おのれ……っ」


 リンゼアは逃げようと身をひるがえすが、一瞬遅い!


「リンゼア、これで――!」


 僕は残りの全魔力を込めた雷撃を放った。


 魔王級雷撃魔法、【雷竜烈波らいりゅうれっぱ】。


 雷の竜が、リンゼアを直撃した。


「ぬおおおおお……く、くっそおおおお……おおお……お……」


 まばゆい輝きの中で、高位魔族は完全に消滅した。



****

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