55 真・魔王の力


 そして――僕はゆっくりと目を覚ました。


「う……」


 頭がまだボーッとする。


 僕は、どうしていたんだろう……?


 頭の中がモヤがかかったようになっていて直前のことを思い出せない。


 周囲を見回す。


 プリセラが僕を見ていた。


 アウラは遠くで倒れている。


 その近くにはキリカ先生や《グレイランサー》の三人が倒れていて――。


「……そうだ、僕は魔族に」


 キッと前方のリンゼアを見据えた。


 こいつに撃たれた。


 そう、胸を撃たれたんだ。


 なのに――、


「生きてる……?」


 見下ろせば、撃ち抜かれたはずの胸の傷が綺麗に消えている。


 痛みも何もない。


 まるで撃たれた事実そのものがなかったかのように。


「貴様、なぜ――」


 リンゼアは呆然とした顔で僕を見ていた。


「死んだはずだ……人間に蘇生の魔法など使えない……いや、たとえ魔族でもそんな真似ができるのは……」


 震えながらつぶやく。


「魔王クラスだけだ――まさか、貴様」


 確かに、体の奥底から力があふれてくるみたいだ。


 これはもしかしたら……魔王の、力?


 ――いや、だけど。


 僕はリンゼアを見据えた。


「どうした? おびえているな」


 挑発してみる。


 こういう言動は苦手だけど、でもやるしかない。


 僕の中からあふれる力は……急激にその勢いを減じているのが分かる。


 たぶん、これは一時的な現象なんだ。


 だから、力が続いているうちに決着をつけるしかない。


 魔王の力(?)があふれている今なら、たとえ高位魔族のリンゼアが相手でも勝てるかもしれない。


 だから――、


「人間ごときに臆したか、リンゼア?」

「貴様……!」


 僕の言葉はリンゼアの矜持に火をつけたみたいだ。


「ち、調子に乗るなよ、人間がぁっ!」


 剣を手に襲い掛かってくる。


「……!」


 けれど、その動きが僕にははっきり見えた。


 すごい。


 本当に僕の能力は大きく底上げされているんだ。


 勝てるぞ――!




****

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