42 プリセラを守るために


「なんだよ、まさかこの弱そうな奴に惚れて、パーティを組んでるんじゃないよな?」

「お前、確かカリスやアイゼリックと一緒のパーティだろ。学園最強の一角――《ゼロディバイド》の」

「《ゼロディバイド》を抜けて、今は彼と一緒に組んでるのよ」


 と、プリセラ。


「だから、わざわざ最強パーティを抜けた、ってことは、そいつに何かあるってことじゃねーか」

「惚れてるんだろ? よせよせ、そんな奴より俺らの方がよっぽど将来性あるぜ?」

「そうそう。どうだ? 俺たちの誰かと付き合わないか」


 いきなりプリセラをナンパし始める《グレイランサー》のイケメン三人組。


 ……正直、いい気分はしない。


「お断りよ」


 プリセラが即答した。


「あたし、チャラチャラした奴って大嫌い」

「はっきり言ってくれるな。俺たち、女には不自由してないんだぜ?」

「その俺たちがわざわざお前を選んでやってるんだけどな?」

「ま、気の強い女は嫌いじゃねぇ。俺たちのパーティに入れよ」


 思った以上にプリセラってモテるんだな……。


「あ、もしかして、あーくん嫉妬した?」


 プリセラがものすごく嬉しそうな顔をした。


「い、いや、別に――」


 言いつつ、ちょっと口ごもってしまった。


「だから、そんな奴じゃなくて、俺たちを見ろよ」


 三人の一人が苛立ったようにプリセラの肩をつかむ。


 そのまま引き寄せようと力を籠め――、


「やめろ!」


 僕はとっさに二人の間に割って入った。


「……なんだ、てめぇ」

「プリセラから手を放せ」


 僕は彼をにらむ。


 怖いけど、ここは譲れないし、ひるむわけにはいかない。


 この間、アイゼリックにキスされそうになり、泣いていたプリセラのことを思い出した。


 もうあんなことは絶対にさせない――。


「お前、魔導師だろ? 一流の戦士である俺たちにケンカ売ろうってのか? この肉弾戦の間合いで?」

「馬鹿だぜ、こいつ」

「痛い目にあわせてやれよ」


 三人がニヤニヤ笑っている。


「……まったく」


 キリカ先生の呆れたような声が聞こえた。


 積極的に止める気がないのか、それとも何か考えがあるのか――。


「どこ見てんだ、こらぁっ!」


 と、プリセラの肩をつかんでいた男が、その手を放して僕に殴りかかってきた。


「!」


 一瞬、身をすくませた僕だけど、すぐにハッと目を見開く。


 見える――。


 あいつらも言った通り、《グレイランサー》のイケメン三人組は、間違いなく一流の戦士だ。


 その動きが、僕にははっきりと見える――。




****

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