41 昇格クエスト開始
「私が今回の昇格クエストBグループを担当する教官のキリカ・サミダレだ。冒険者ランクはS。お前らの護衛も兼ねている」
と、二十代前半くらいの女教官が言った。
右目に眼帯をした赤い髪の美女だ。
ゲーム内でも強キャラとして活躍し、アイゼリックと結ばれるヒロインの一人だった。
……まあ、この世界のアイゼリックと目の前の凛々しい美女が結ばれるイメージは全然湧かないけど。
「お前たちはこれから時に競い合い、時に協力して、一つのクエストに挑むことになる。その前にお互い自己紹介といこう。お前たちから時計回りにパーティの名前と、メンバーのクラスを言っていけ」
「じゃあ俺たちからですね」
と、キリカ先生の正面にいるパーティの中の一人が手を挙げた。
灰色の髪をした少年で身長をはるかに超える長さの槍を携えている。
「俺たちは《グレイランサー》だ。パーティランクはA。戦士3、ヒーラー1の構成。よろしくな」
名前の通り、他の戦士たちも槍を持っていた。
残りの一人……治癒術師はおとなしそうな女の子だ。
「俺たちは《フォアクラウン》。パーティランクB。演習の後に打ち上げ予定だから、後でみんな誘うよ。特に可愛い子は歓迎かな」
言いながら、彼らはプリセラとアウラをジッと見つめていた。
全員イケメンの四人組だ。
「僕たちは《ラブリング》。構成は戦士二人に魔術師、僧侶。パーティランクは同じくB」
と、三番目のパーティが簡潔に自己紹介を終え、
「あたしたちは《ウルフソード》。見ての通り、獣人だけのパーティよ。パーティランクはCだけど、甘く見ないでよね」
リーダーらしき少女が自己紹介すると、いよいよ最後は僕たちの番だった。
「――って、僕らのパーティ名って決めてないよね?」
「あ……」
「忘れてたわ」
僕らは顔を見合わせた。
さて、名前をどうしようか。
「あたしは何でもいいよ。あーくんが決めて」
「私も別に……アーロンに従うわ」
えっ、二人とも早々に僕に振ってきた!?
どうしよう――。
「うーん……」
いざ考えるとなると、浮かばない。
「どうした? 結成したばかりのパーティだと聞いているが、名前を決めていないのか?」
キリカ先生が言った。
「実は、まあ、そうです」
言いながら、ふと思いついたことがあった。
僕の目標は、最難関といえる最終ダンジョンを突破することだ。
「最終……突破……」
よし、決めたぞ。
「僕らのパーティ名は――《ラストブレイカー》です」
「へえ、いいんじゃない」
「うん、強そうな感じだし」
プリセラとアウラからも好評な返答をもらえた。
よかった。
「パーティランクはE……結成したばかりなので」
と、続ける僕。
「Eか……」
ジロリとこっちを見たのは、この中で最高ランクであるAランクパーティの《グレイランサー》だ。
「いや、でもメンバーはAランク3位のプリセラ・ウィンゾードだぞ」
「もう一人もAランク19位のアウラ・リーリ……残りの一人はザコっぽいけど」
……悪かったね、ザコっぽくて。
「ちょっと! 今、あーくんのことザコって言わなかった!?」
あ、プリセラがいきなりキレた。
****
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