37 僕とプリセラの朝チュン、そして……


 ちゅんちゅんちゅん……。


 窓の外から小鳥の鳴き声が聞こえる。


 ああ、これがまさに『朝チュン』だな……なんて考えながら、僕はまどろんでいた。


 隣には裸のプリセラがいる。


 目が合うと彼女は照れくさそうな、はにかんだ笑みを浮かべた。


「朝までしちゃったね」

「ごめん、止まらなくて」

「ううん。あたしも昨日はずっとこうしていたい、って思ってたから……朝までずっと――」


 うっとりした顔でつぶやくプリセラ。


 その横顔を、窓から差し込んだ淡い朝日が照らし出して、とても綺麗に見えた。


 そのまま、僕らは言葉を交わすでもなく、笑みを交わし、視線を交わし、言葉がないのに、なんだか会話をしているような――甘い感覚に浸っていた。


 なんだか照れくさい。


 けれど、すごく心地いい。


 なんだろう、この気持ちは。


 今までとは違う――。




 こんこんっ。




 突然、僕の部屋がノックされた。


「っ……!?」


 さすがに焦る。


 僕は慌てて服を着る。


 プリセラも下着を身に付け始めたけど、


 こんこんこんっ。


 さらにノック。


「と、とりあえず誰が来たか確認するから、プリセラは着替えてて」

「う、うん、ごめんね」

「いいよ、そんな」


 僕は彼女に言って、玄関に向かった。


 背後を確認すると、プリセラは奥の部屋に引っ込んでいる。


「どちら様でしょうか?」


 現代日本の家屋みたいにドアに覗き窓でもあればいいんだけど、そんなものはないので、誰が来たのか呼びかけるしかない。


「私よ、アーロン」


 聞こえてきたのは、アウラの声だった。


「悪いけど、廊下の向こうから誰か来ているみたい。部屋に入れてもらってもいい?」


 有名無実化しているけど、いちおう男子寮は女子禁制だ。


 アウラがここにいるのが見つかると、ちょっとまずい。


「わ、分かった」


 僕はドアを開けた。


 ……プリセラがいるけど、まあアウラになら見られてもいいだろう。


「――!」


 と、アウラがベッドの方を見て、表情を変えた。


 シーツは乱れたままで、いかにもさっきまでセックスをしていました、という様相だった。


「あ、実はプリセラが来ていて――」

「……今までエッチなことしてたんだ?」


 アウラが僕に視線を戻す。


 あれ? 妙に険しい表情だぞ?




****

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