27 次の日も二人の美少女は僕を巡ってバチバチする


 翌日も僕はいつも通りに登校した。


 ちなみに昨日はあの後プリセラに『相手』をしてもらい、またステータスが1上がっている。


 あいかわらずプリセラの体は最高だったなぁ……なんて昨日の快楽の記憶につい浸っているうちに教室に着いた。


 教室に入ったとたん、近くにいた数人の男子生徒がいっせいに僕を見る。


 じとっ。


 誰もがジト目で冷たい視線をしていた。


「あいつ、昨日もプリセラ先輩とアウラちゃんを……」

「くそ、Fランのくせに学園きっての美少女二人を侍らせてるだと……」

「羨ましい……死ぬほど羨ましい……」

「あ、はは……おはよう……」


 僕は苦笑しつつ挨拶をする。


 こんなふうに学園の男子生徒たちから恨みがましく見られることが日に日に増えていた。


 一方、女子生徒の反応といえば――。




 昼休みになり、食堂に向かおうと廊下を歩いていると、


「ねえ、アーロンくん、あたしたちとも付き合ってよ」

「今度一緒にご飯食べに行こ?」

「あたし……アーロンくんと二人で遊びに行きたいなぁ?」


 数人の女子グループが僕を囲み、露骨に誘ってきた。


「い、いや、その、嬉しいんだけど、僕が女子グループと一緒にいるとプリセラがいい顔しないから……」

「プリセラ先輩? やっぱりあの人と付き合ってるの?」

「えっ、本命はアウラさんじゃないの?」

「あたしは二人と同時に付き合ってるって聞いたよ?」

「付き合ってるわけじゃないというか、あの二人との関係は、その――」


 どう説明すればいいんだろう?


 恋人同士ではないことは確かだ。


 けれど、それは単純な打算なのか、それとも――。


「……ちょっと? あーくんを誘いたいなら、あたしに話を通してよね?」


 プリセラがやって来た。


 本当、すぐに駆け付けてくるんだよな。


 彼女は学年が違うから、教室のフロアも違うのに――。


 昼休みや放課後になると、ほぼ毎日こうしてやって来る。


「抜け駆けして誘うのは禁止。いい?」


 例によってプリセラが僕の前に立って、彼女たちからガードする。


「プリセラ先輩……!」

「この人が、Aランク3位の――」

「も、申し訳ありませんでしたぁ!」


 彼女たちは蜘蛛の子を散らすように去っていった。


「ふう、油断も隙もないなぁ……あーくん、スキルだけじゃなくて君自身の魅力もあるんだから、不特定多数の女子に気を許さないようにしてね?」

「僕自身の魅力ってことはないと思う」

「あるよ」

「ないってば」

「ある」

「ない……んっ!?」


 いきなりプリセラにキスされた。唇に。


「そんなこという唇は塞いじゃうからね?」


 プリセラがふふっと笑う。


「が、学校内でいきなりキスはちょっと……」


 周りに見られたらどうしよう。


 幸い、彼女たちが去った後の廊下には誰もいなかったけど……。


「別にいいじゃない。むしろ、あたしたちが恋人同士だって周囲に伝わった方が、あーくんにちょっかいを出す女子も減るだろうし」

「恋人同士……」

「まあ、やってることは恋人同士そのものよね? ね?」


 プリセラが満面の笑顔でたずねる。


「えー……っと」


 返答に困る僕。


「学校内であまりイチャイチャしていると風紀面で教官から注意が入りますよ、プリセラ先輩」


 いつの間にかアウラが背後に立っていた。


「そうなると、アーロンにも迷惑が掛かりますよね?」

「む……」


 プリセラが眉間を寄せた。


「確かにそうね……うん、学内ではなるべくイチャイチャしないことにする。ごめんね、あーくん」

「ううん。イチャイチャは部屋の中でしよう」

「ふふ、じゃあ、さっそく――」

「い、いや、この後、僕は鍛錬したいし……っていうか、プリセラも鍛錬しないの?」

「う……それもそうね」

「私もこの後は鍛錬です。ねえ、アーロン。せっかくだから一緒にする?」

「僕だとアウラの訓練についていけないかも……」

「そんなことないわよ。今はもう私と同レベルになってるんじゃない?」


 と、アウラ。


 確かに僕のステータスは上がってきているけど――。


「私としても訓練相手がいると助かるし。一回、一緒にやってみようよ? ね?」

「じゃあ、お言葉に甘えて――」

「ちょっと待って。なんか二人の世界になってない?」


 いきなりプリセラが割り込んできた。


 怒ったような顔だ。


「あら? 今のは純粋に冒険者としての会話ですよ、先輩」

「嘘。あーくんと二人っきりになれることを喜んでた」

「あくまでも冒険者として、です」

「本当に? あたしからあーくん取ろうとしてない?」

「別に先輩のモノではないですよね? 恋人というわけでもないですし」

「あー! やっぱり、君もあーくん狙ってるんだ!」

「ね、狙ってません。私と彼はあくまでも打算的な関係で……」

「そんなこと言いながら顔赤いじゃない。だいたい、あーくんを見る目が明らかに『女の目』になってきてるし!」

「なっ!? わ、私、そんな目で彼を見てません……!」


 言いながら、確かにアウラの顔は赤くなっているように見えた。




****

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冒険者学園で最底辺の僕が寵愛チート無双 美少女たちが寄ってたかって初めてを捧げてくるし、誰も僕を放っておいてくれないんですけど!? 六志麻あさ@12シリーズ書籍化 @rokuasa

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