25 僕は今日もプリセラ、アウラと睦み合う

「Aランクモンスターを単独で倒すなんて凄いじゃない!」

「やっぱり、あなたのスキルは有用ね。あらためて確認できたわ」


 左右からプリセラとアウラが僕にしなだれかかる。


 ここは僕の寮の自室だ。


 ベッドの上で僕とプリセラ、アウラが並んで腰かけている。


 むぎゅ、ぎゅううう……。


 左右から二人に挟まれる格好のため、さっきから両腕にプリセラとアウラの胸がそれぞれ押し付けられていた。


 まるで競い合うように、不自然なくらいに強烈に押し付けてくる。


 至福の感触だった。


「これも二人のおかげだよ」


 僕はプリセラとアウラに礼を言った。


「おかげで僕は……今までより強くなれた」

「ふふ、あたしはあーくんに悪い虫が付かないように守ってるだけだし、強くなったきっかけはスキル効果でも、その力を使いこなすために頑張ったのは君自身でしょ」

「そうね。あなた自身がやり遂げたことだと思うわ」


 プリセラとアウラが口々に言った。


「だから胸を張ればいいと思う」


 最後は二人が口をそろえて言った。


「……ありがとう、二人とも」


 こんなふうに僕自身のことを認めてもらい、褒められたのって初めてかもしれない。


 この学園に入ってから二年生になった今に至るまで、ずっと落ちこぼれだった。


 もちろん、その記憶のほとんどは僕じゃなく『以前の僕』のものだけれど、その悔しさや無念さは伝わってくるんだ。


 僕は――ずっと辛かった。


 最底辺をさ迷いながらも、諦めきれない思いがあったから。


 いつか『上』に行きたいという願いがあったから。


 そして、その思いも願いも、まるで手が届かず、努力の全ては無に帰していたから。


 ずっと――苦しかったんだ。


「今は、気持ちが晴れ晴れしてるよ」


 僕は強くなるための道を着実に進んでいる。


 そして、これからもっと強くなれるはずだ。


 まあ、そのためには『女性と交わる』という行程が不可欠なんだけど……。


「あーくんがもっと強くなるために、あたしも協力しちゃうね」

「私もよ、アーロン」


 二人がさらに体を寄せてきた。


「ね、あーくん……こっちを見て」

「えっ」


 振り向いた瞬間、プリセラに唇を奪われた。


 初めての時はお互いにぎこちないキスだったけど、さすがに回数を重ねた今はお互いに慣れた感じだ。


 唇をぴったり合わせるだけじゃなく、互いについばむようにしたり、舌を軽く絡めたり……相手の唇を愛撫するようなキスを貪っていく。


「ねえ、こっちもいるんだけど?」


 と、キスの途中で半ば無理やりに反対側を向かされた。


 そこには拗ねたような顔をしたアウラがいる。


「んっ……」


 今度はアウラに唇を奪われた。


 遠慮がちに舌を差し入れられたのは、プリセラに比べると、僕と肌を重ね合わせた経験が少ないからだろう。


 僕の方がリードするように彼女の舌を迎え撃ち、彼女の口内を僕の舌でまさぐっていく。


「ん、むっ……んんんっ!?」


 その勢いに驚いたのか、アウラが目を白黒させた。


 戸惑う様子が可愛らしくて、僕はつい張り切って彼女の舌と唇を貪ってしまう。


「……ちょっと長くない。もう一回、あたしとちゅーしてよ」


 背後からプリセラが不機嫌そうに言った。


「はいはい」


 僕は苦笑して、ふたたびプリセラと唇を重ねる。


「せっかく浸ってたのに……もう」


 今度はアウラが拗ねたように言った。


 二人を同時に相手にするのも中々大変だ――。




****

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