20 アウラとラブホテルに行く
「いやー、今日は実りある一日だった」
僕は放課後になってもホクホク気分だった。
と、
「今日は大活躍だったみたいね」
アウラが声をかけてみた。
「えへへ、まあ……」
僕はついニヤけてしまう。
「それで……昨日の話、考えてくれた?」
真剣な表情になって僕の顔を覗きこむアウラ。
「実は弟の容体が悪化して……申し訳ないんだけど、力を貸してほしいのよ。お願い……!」
切実な様子だった。
それも当然だろう。
弟の命が懸かっているのだから――。
「『力を貸す』の意味は分かってるんだよね?」
僕は念のために確認した。
「僕のスキルは【アスモデウス】といって、異性と、その……性行為をすることで自分と相手のステータスをそれぞれ1ずつアップさせる、っていうものなんだ」
「ステータスを1つ上げる……ええ、噂で聞いたとおりね」
うなずくアウラ。
「当然だけど、ステータス+1っていうのは、そこまで大幅なパワーアップってわけじゃない。10回とか100回とか回数を重ねていけば、そりゃ強くなれると思うけど――」
「ええ、それでいいわ」
僕の言葉にアウラは平然と言った。
「10回でも100回でも1000回でも、あなたと……セックスするわ。あなたが望んでくれるなら、抱いてほしい」
アウラは僕をまっすぐに見つめている。
ここまでストレートに『抱いてほしい』なんて言われたのは、人生で初めてだった。
アウラは、さすがに顔を少し赤らめているけど、瞳はまっすぐに僕を見つめている。
強い意志を感じさせる眼光だった。
そう、彼女の決意は固いのだ。
「……分かった」
僕は決断した。
アウラの瞳に浮かぶ光は、とにかく懸命な気持ちが宿っていた。
それに応えたい、と僕は思ったんだ。
恋人でもない相手と関係を持っていいのか、とか。
複数の女性と同時並行で関係をもっていいのか、とか。
僕には罪悪感がある。
けれど、そんな気持ちはアウラが背負っている事情に比べたら小さなものじゃないか。
僕とアウラは場所を移動した。
で、どこに来たかというと――。
「これが連れ込み宿か……」
僕は目の前の建物を見上げる。
現代日本でいうところのラブホテルである。
毎回、僕の寮の自室でするのも周囲に『とっかえひっかえ女の子を連れ込んでいる』と思われかねないし、あまり風紀を乱すようだと退学もあり得る。
というわけで、今回は連れ込み宿を利用することにしたのだった。
「私、こういう場所は初めてで……アーロンくんはどう?」
「僕も初めてだよ」
僕らは宿の一室に入り、それぞれシャワー(魔法装置で現代世界と同じようなシャワーがある)を浴びた後、ベッドの上で向かい合った。
僕は全裸で、アウラは恥ずかしいのかバスタオルで体の前を隠している。
「そ、その……私、経験がなくて……優しくしてくれると嬉しいな」
「もちろんだよ。といっても、僕も経験豊富ってわけじゃないけど」
それでもいちおう経験者だし、アウラをリードしなくちゃ。
僕は震えるアウラを抱き寄せた。
「じゃあ、最初は……キスから」
「え、ええ」
緊張気味のアウラに顔を寄せ、そっと唇を重ねる。
ビクっと彼女の全身が震えた。
初々しい反応に、僕はときめきを覚えた。
ああ、キスも初めてなんだよな、きっと。
アウラの体からバスタオルを離すと、一糸まとわぬ美しい体があらわになった。
「あ……」
恥ずかしそうに頬を染める彼女を、僕はベッドの上に押し倒した。
どくん、どくん……。
お互いの心臓の音が聞こえそうだ。
いよいよ、アウラの処女をもらうんだと思うと、僕の興奮は一気に最高潮に達した――。
****
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