19 僕の強さの現在地

「で、でもアーロンくん、Fランクでしょ!?」

「む、無理だよ……Cランクの二人でも勝てないのに。殺されちゃうよ!」


 女子二人が心配そうに叫んだ。


「今、君たちを守れるのは僕しかいない――」


 何度かの性交で僕のステータスは以前より上がっている。


 けれど、それは爆発的な上昇ではなく、少しずつアップしている感じだった。


 今の僕が、果たしてCランクを蹴散らしたモンスターに通用するのか――?


「やるしかない……!」


 覚悟を決め、僕はモンスターと向かいった。


「で、でかい――」


【グレイグリズリー】は身長10メートル近い巨大な熊のモンスターだ。


 前世だったらヒグマに肉弾戦で立ち向かうようなものだろうか。


 勝てるわけがない。


 前世の僕だったら。


「だけど、今の僕は――違う!」


 最底辺とはいえ冒険者だし、それに少しずつ強くなっているんだ。


 1度の『行為』では+1しかステータス数値は上がらないけど、僕はそれを何度も積み重ねた。


 たとえ+1だって、それが重なっていけば、やがて大きな数字となる――。


 そう、信じるんだ。


 強くなっている自分を。


「【身体強化】」


 まずは基本的なステータスアップ魔法を自分自身にかける。

 さらに、


「【マジックスピア】」


 僕の手に魔力の槍が出現した。


 接近戦で力を発揮する攻撃魔法だ。


 と、次の瞬間、


 ぐおおおおおっ!


【グレイグリズリー】が襲い掛かってきた。


「――見える」


 相手の動きがゆっくりに見えた。


【身体強化】の効果はもちろんだけど、それに加えて僕の基礎的なステータスは、魔導師でありながら戦士に近いレベルまで上がってきているのだ。


「いくらお前に圧倒的なパワーがあっても――当たらなければ!」


 どうということはない。


【グレイグリズリー】が繰り出す爪を、僕はやすやすと避けてみせた。


 そして背後に回り込んだところで、


「【ブラックボム】!」


 魔力の爆弾を叩きつけ、モンスターの巨体を粉々にした。


【マジックスピア】と【ブラックボム】――この二つは僕の魔力が以前より上がったことで、ようやく習得できた新魔法だ。


「アーロン、すげぇな、お前……!」

「お前、こんなに強かったっけ……!?」


 Cランクの男子二人は目を丸くしていた。


「やっぱり……噂は本当なのね」

「アーロンくんとエッチすれば強くなれる……ふふ」


 Dランクの女子二人は目を輝かせて僕を見ていた。


 僕は、といえば――自分の強さを実感できて、喜びに浸っていた。


 だってCランク二人がほぼ瞬殺される敵を、僕は一人で、しかも苦もなく倒してしまったのだ。


 たった十数回のセックスでこれだけパワーアップできるなら、これから先もプリセラやあるいは他の女性と肌を重ねていけば、いずれはSランク冒険者並みに強くなれるかもしれない。


 もしかしたら、それ以上にも――。


「うおおおおお、夢が膨らんできたぞ!」


 僕は思わず叫んだ。


「夢?」

「ハーレム生活かしら?」


 女子二人が微笑む。


「まじで女とヤると強くなれるのか、お前」

「まじでハーレム作る気か、お前」


 男子二人はジト目だった。



****

〇読んでくださった方へのお願いm(_ _)m

☆☆☆をポチっと押して★★★にして応援していただけると、とても嬉しいです。

今後の執筆のモチベーションにもつながりますので、ぜひ応援よろしくお願いします~!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る