第2.5層 巷で噂の教授

前回のあらすじ:レイ達一行はヴェノムスパイダーを討伐し一息ついている…


ガサッ


「?」


人影のようなものが見えた。


「おい、そこに居んのは誰だ?」


影はぬるりと立ち上がり、その姿を見せた。


「え、えへへ…」


「人間…?アタシら以外にもいたのか」


「わ、私、サーシャって言います…生物学者で…」


どこかで聞いたことがある。


「サ、サーシャさん!?」


リルが大声を上げる、珍しい事だ。


「サーシャさんと言えば著名な生物学者で、私の1番尊敬している人です!」


「サーシャ・ブラウン教授、僕も知っていますよ。最近巷で噂になっていましたからね」


「わ、私の噂ですか?」


「はい、サーシャ教授が突然行方不明になり、生物学会はそれはもう騒ぐ騒ぐ」


「あわわ…また皆さんに迷惑を…」


「ところでどうしてサーシャ教授はこんなところに?」


「恐らく皆さんと同じ境遇です、ダンジョンの噂を聞きつけて、二階層まで来たのはいいものの食料が尽きてしまって…」


なるほど、確かにこの箱庭は生物学者にとっては楽園かもしれない。


「教授さえ良ければ、アタシ達と一緒に行かねぇか?」


「い、良いんですか!?ぜひ!」


こうして、レイ達は新たな仲間を加えた。



洞窟を進んでいくと、米粒程の大きさの生物を見つけた。


「こ、これは!ヒヤムシちゃんですよ皆さん!!」


サーシャは先ほどとは別人の様に興奮し始めた。ハァハァしている。


「ここから下の階層で役に立つかもしれません!採取しましょう!」


どこからともなく瓶を取り出したと思ったら次々と詰めていく、しかしピタリと手を止めた。


「どうかしたのか?」


「取りすぎては生態系を壊しかねません、特にこの様な異空間では何が起こるか分かりませんし」


ごもっともだ。


それにしても寒い、ヴェノムスパイダーから受けた傷の出血のせいだろうか?


寒さというか、悪寒だが。


互いのことを話しながら足を進めて行くと、もはや見慣れた扉が現れた。


ギィィィィィィ…


扉を開けた先には、煮えたぎる炎があった・・・・・・

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キャラクター紹介3人目

名前:ランド

身長:250cm

体重:「652キログラム…」

趣味:土遊び


迷宮生物図鑑No.3「ヒヤムシ」

体長は5mm〜10mm程の大きさで、体内に冷気と魔力を共に溜め込むという稀有な性質を持っている。絶命時に溜め込んだエネルギーを一気に放出し、他の仲間に危険を知らせると共に最後の抵抗を行う。

とある冒険者の手記

「メイン食材ではない。しかし料理に少量用いると独特の爽やかさをもたらしてくれるので隠し味として長い間親しまれている。故に100点の評価は割愛させていただく」

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箱庭の冒険譚 ぱるぷ @tanaka846

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