甦生の復讐者
へたれチキン
第1話 召喚
「――ごふッ・・・・やめろ、やめろッ!!」
少年――白井和人は血反吐を吐きながら叫ぶ。
和人の腹は裂け、臓物が溢れ出ている。
身体中が悲鳴を上げ、血液が大量に流れ出てくる。
刻一刻と和人に死への時間が迫る。
すると黒いブーツを履いた人物が血の波紋を生みながら“少女”の下へと歩んでゆく。
「僕をッ!!僕を殺せッ!!」
必死に和人はその人物にしがみつく。
しかしその抵抗虚しくすぐに振り払われる。
そして一歩、もう一歩と少女へと近づいてゆく。
「止まれ・・・・・・ッ!!止まれ!!」
和人と少女の視線が交差する。
すると笑みを浮かべた少女が一言。
――ありがとう、さようなら。
「嫌だッ・・・・・・やめてくれ、やめろ!!」
和人が少女へ手を伸ばそうとした瞬間、その顔に真っ赤な液体が飛び散る。
「ぁ、な、んで・・・・・・?」
少女からは当然返事は返ってこない。
和人は認められなかった。
否、認めたくなかった。
脳が目の前の光景を拒否する。
そこには頭部と身体が別々の少女が横たわっていた。
「あ、あああああああアああああアアアあアアアアああアアアああああアアアあアああアあアアアアあッ!!」
和人は叫んだ。
まるで獣のように。
「――ぁ、ごめ・・・・・・ん」
そして急速に和人の意識が遠のいていく。
先程までとは打って変わって喉から掠れた声しか出ない。
段々と心臓の鼓動が遅くなっていく。
《――がスキル『
和人の脳内でそんな声が聞こえた気がした。
次の瞬間、白井和人の心臓が止まった。
――――――――――
月曜日。日課のジョギングを終えた和人は制服に着替え、学校へと向かう。
そして学校に着くと和人にとっての地獄が始まる。
「よぉ、和人く〜ん。今月ちょっと厳しいんだよ、金貸してくんね〜?」
その原因が彼、桐谷龍太郎である。
ルックスは物凄く良いが性格が終わっている男。
事あるごとに和人からお金をせびってくる。
しかしこれは序の口に過ぎない。
「な、なんで、この前も貸したじゃん、僕だってもう無いよ」
「あぁ?んだとテメェ、テメェは黙って俺の言う事聞いてれば良いんだよッ!」
「かハッ・・・!?」
この通り彼は気に食わなかったらすぐ和人を殴ってくるのだ。それもクラスメイトの前で。
クラスメイトは見て見ぬふり、それどころか笑っている奴もいる。
「ほら、どうした和人く〜ん?」
「早く立てよ〜」
さらにその取り巻きの片岡裕二、後藤ハジメが殴る蹴るの暴行。
いつもこの三人に和人はイジメられている。
この学校の教師もイジメを無視。それに加えて、両親は事故で他界している。
この世界に和人の味方は居ないのだ。
――――――――――
昼休み。昼食を摂り終えた和人は一人で考え事をしていた。
(はぁ。なんで僕がこんな目に遭うんだろうか。もういっその事、誰か異世界召喚でもしてくれないかな〜)
否、ただ虚しいだけの現実逃避をしていた。
そのまま異世界へ祈りながらノートを鞄から取り出そうとした瞬間――
教室が眩い光に包まれた。
床にその光と共に魔法陣のような幾何学的模様が現れたからだ。
その場に居た全員が金縛りに遭ったかのように動けない。
段々と魔法陣の光が強くなってゆく。
そして周りが見えなくなるほどその輝きが強くなったその瞬間、教室内に居た生徒達が姿を消した。
甦生の復讐者 へたれチキン @mamiyo0628
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