第4話 ロリの不安
「ひっ」
『まてよー』
『逃げるなよ~』
「こないでっ!」
そう言って私は、黒い手を蹴とばそうとした。
だけど黒い手は全く蹴飛ばせなくて、私の足をぎゅっと掴んで離さない。
足先、太もも……
なんでこんな目にあったんだろう。
ごめんなさい、ごめんなさい。
ちゃんとママとパパの言う事聞いていい子にするから……だから……。
そんなことを思いながら、私の体は黒い手に覆われていき……
「やめ……んっ……」
私はゆっくりと目を覚ました。
「……ん………ここ何処………??」
ぼやけた頭と視界で、ゆっくり周りを見渡す。
天井は近く、まるで白い石を磨いて作られたかのようにつるりとしている。
全くと言って見覚えが無い……
「……っそうだ、私、追いかけられて」
と、そこで私は怖い人に追いかけられていた事を思い出した。
多分あの人たちは、人攫い……っていう人たちなんだと思う。
人攫いっていうのは、人を捕まえて、奴隷?っていう物にして物としてどこか遠くに売ってしまうらしい。
そしてひどい目にあって、一生パパとママに会えなくなっちゃうって……そう聞いたことがある。
そう思って改めて周りを見る。
檻の中に入れられてるわけじゃないが、知らない場所。
しかも暗くて狭くて、何がどうなってるのか全く見えない。
そんな場所にいるという事がだんだんとはっきりとわかってきた私は、どうしようもない不安と、恐怖に襲われて、気が付けば目からドバドバと涙があふれていた。
「ひぐっ……ぱぱ、ままぁ………」
涙を流し、鼻水を啜り……しばらく泣いて、泣いて……もうパパ、ママに会えないんだと……そう、思った時だった。
バチンッ
と、何か大きな音がして突然明るくなる。
「ひぃっ!?何!?」
涙をぬぐい、周りを見渡せばそこは白色の部屋だ。壁に埋め込まれているようにしてある棚?のような物、ガラスケースに収められた人型の彫刻、取っ手の無い扉のような物など、見たことない物がたくさんある。
「……何、ここ……?」
想像していた人攫いの人たちの家からかけ離れた光景を見て呆然としていると、取っ手の無い扉が『ウィーン』と言う音を立てて開いた。
「……いやー参った参った、まさかコンセントが抜けてただけだったとは、灯台元暮らしとはこのことであるな!」
扉を開け、そう言って入ってきたのは赤色の……何だろう、人……なのかな?人の形をした何かだった。
「むっ……センサーに反応……おおっ!目が覚めたのか!」
「ひっ」
部屋に入ってきた謎の人?は私に気が付くとガシャンガシャンと音を立てて近づいてきた。
「私は変革戦士ロリコーンだ」
「ロリ……コーン……??」
「そうだ、ロリコーンだ」
何?変態紳士……あれ?なんか違うような?それに、ロリコーン……って、この人の名前……でいいのかな?
変な名前……そう思いつつ私はその赤い人を見る。
よくよく見たら、ロリコーンが付けている物は何かの金属の鎧?の様な物だと分かる。
もしかして……騎士様……なのかな?
金属の鎧を纏った存在と言うのは、古今東西騎士様だけだ。
そう、そこまで考えた時、騎士様?は私の頭をなでた。
「あの……」
「もう大丈夫だ、ここは安全な場所だからな」
困惑していると、騎士様は優しい声でそう言った。
撫でられているとなんでか分からないけどほっとしてくる。
「うぇーん……!」
「うおお!?ど、どうしたのだというのだ!?」
騎士様とはいえ知らない人といるのは怖い……けど、騎士様に助けられたんだったら、もう大丈夫なのかもしれない……そう思うほっとした感覚。
そんなぐちゃぐちゃな感覚の中で私は、自然と涙が出てきたのだった。
変革戦士ロリコーン 青薔薇の魔女 @aomazyosama
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