第2話:信じない親父。
「今も言ったけど、俺にとっちゃ君が悪魔かなんてことより女であることが
最優先なの・・・一番大事なことなの・・・分かった?」
「はあ・・・」
「それじゃ〜これからどうしようか・・・困ったな、放っていけないし」
「リーベちゃん、よかったら俺んちにお邪魔してみる?」
「はい、お邪魔します・・・凍え死にしたくないから・・・」
「ちょっと待ってよ、ツレにさ・・・俺は別ルートで帰るから勝手に帰って
くれるよう言って来るから・・・」
「お願いします・・・」
天河はちょっとエッチい欲望に走った。
たとえ人間の女の子じゃまくても女である機能は備わってるだろうから
悪魔でも可愛けりゃそれでいいやって・・・。
な訳で、天河はリーベを連れて電車に乗って自分ちへ帰ってきた。
天河は親父とふたり暮らし。
母親は天河が幼少の頃、病気で亡くなっていた。
今日は休日だから親父は家にいるだろうなって思ったがリーベを連れて
帰った以上、隠しておく訳にはいかない。
リーベを連れて玄関に入って天河は親父がいるか確認した。
「ただいま〜」
「おかえり〜」
って親父の声がした。
やっぱり家にいるよ・・・しかたない。
「リーベちゃん・・・上がって・・・靴脱いでね」
「今から俺の親父に君を紹介するから・・・信じるといいけどな?君が
悪魔だってこと」
リーベは天河の言う通りおとなしく従った。
なんせ、見たこともない人間の家・・・それに慣れない生活空間。
ただ、訳も分からずビビるしかなかった。
「なに?震えてるの?・・・大丈夫だから、俺の親父も俺と一緒で
優しいからね、安心していいから」
「ほらこっち・・・おいで」
リーベは天河に手を引かれてリビングに入ってきた。
親父はソファにふんぞり返ってテレビを見ていた。
「親父、ただいま」
「おう・・・お帰り・・・ってなんだ?」
そう言って親父は俺の横にいるリーベを見ていぶかしそうな顔をした。
「なんだ天河・・・めずらしい・・・彼女連れてきたのか?」
「あ〜彼女っつうか・・・」
そこで天河はアミューズメントパークでの出来事を親父に話した。
「なんだよ、それ・・・彼女連れてくるのに、なんでそんなややこしい作り話
するんだよ・・・意味あんのか?」
「作り話じゃねえって・・・」
「この子の顔見たら分かるだろ?・・・こんな青い顔した人間いるか?」
「あはは〜・・・お前の彼女コスプレーヤーだろ?見りゃ分かるわ」
「なんでだよ・・・違うわ・・・ゴスロリだけどな、でも信じろよ」
「リーベちゃんも言ってやってよ」
「お邪魔してます〜私、悪魔の世界から来ましたリーベゼーレ・ヴィーガンです」
「なに?君まで・・・もう・・・」
「天河ちゃんあなたのお父様、かたくなな方ですね」
「いいわ・・・信じなくてもいい・・・」
「とにかく季節が暖かくなるまで俺がこの子の面倒見るからな、反対するなよ」
「ま、俺は関係ないからな・・・好きにすりゃいいだろ?」
「そうかおまえも女を連れ込むような歳になったか?」
「連れ込むってなんだよ、人聞きの悪いこと言うな・・・人助けだよ」
「なこと言って今夜は同じベッドで同じ布団で寝るんだろうが・・・」
「いいんじゃないか?・・・俺も若い頃は女を連れ込んでいいことしたもんだ」
「俺は親父とは違うわ、一緒にするな」
「天河ちゃん・・・天河ちゃんのお父様ってダンディーな方ね」
「私、イケるかも・・・お父様って何歳?」
「45歳だろ?」
「許容範囲ね・・・」
「何が許容範囲なんだよ・・・まさか親父を誘惑するつもりか?」
「それもいいかな?」
「何言ってんの?親父の前に俺がいるだろ?」
「俺が立ちはだかってるんだから、誘惑するまらまず先に俺だろ?」
「天河ちゃん誘惑しちゃっていいの?」
「聞くけど、リーベちゃん何歳?・・・」
「立派な15歳」
「未成年じゃないかよ・・・誘惑とかって以前の問題だよ、まだ子供じゃ
ないか・・・」
「子供じゃないよ・・・15歳だってちゃんとエッチできるよ」
「え?エッチって・・・エッチって・・・親父の前でなんつ〜こと言ってんの?」
「ほら、おまえらどうせ今夜やっちゃうんだろうが?そんなもんだよ男と女は」
「親父もなにスケベなこと言ってんだよ・・・俺たちはそんな関係じゃねえよ」
「私は天河ちゃんとそんな関係になっていいよ」
「だってここにいつ限り、いつかはエッチするでしょ?」
「いつかはって・・・いつかはな・・・」
天河は適当に誤魔化したけど、実は天河も親父も知らない秘密がリーベにはあった
んだ・・・うん、あったんだなこれが。
つづく。
俺には君が悪魔だなんてことより女であることのほうが大事。 猫野 尻尾 @amanotenshi
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