俺には君が悪魔だなんてことより女であることが肝心。

猫野 尻尾

第1話:アミューズメントパークでの出会い。

「かぐや姫は満月の夜エロくなる」の悪魔版だと思っていただければ。

だから面白いって思った部分は容赦なくカブリますから・・・。

あ、同じだ、と思っても何事もなかったようにやり過ごしてください。(=^x^=)



ここは悪魔の世界。

デモネス「女悪魔」の「リーベゼーレ」はヴィーガン家の長女。

両親と弟の四人家族で、あと執事とメイド二人が家族の世話をしていて

平和に暮らしていた。


今日は悪魔の学校はお休み。


「友達と遊びに行ってくるから・・・」


「学校が休みだからって女の子がフラフラ遊びまわって不良になるぞ」


父親がそう言った。

だけどリーベゼーレはその言葉を無視して家を出て行った。

待ち合わせをしていたカフェで恋愛話で盛り上がったあと、みんなで

アミューズメントパークに遊びに行った。


まずは絶叫系アトラクションへ。

リーベゼーレは少しビビりながら友達とジェットコースターに乗った。

で、コースターが一番高いところから下に向かって一気に落ちて行って

絶叫を上げながら心臓ドキドキのまま元の位置に帰ってきた。


怖かった〜って言いながらボックスから降りようとしたら、友達だちが

誰もいない・・・。


「え?みんなは?」


リーベゼーレは訳が分からないまま、アトラクションから出て、そばに

設置してあったベンチに腰掛けた。


「なんで?・・・なんで誰もいないの?・・・」


奇妙なことが起きて不安に駆られたリーベゼーレは理解できずパニクって

その場で泣きだした。


「あの・・・君、どうかしたの?・・・めっちゃ顔色悪いけど」


「え?・・・」


「今、泣いてたよね・・・迷子になったのかな?・・・」


「あなたは?」


「あ、俺?俺は「紀藤 天河きとう てんが」っての、それが俺の名前。


泣いてたその子はまじで顔色が悪かった。


悪魔だからね・・・基本悪魔は男も女も顔も体も人間と違って肌色じゃない。

薄いブルーな色をしている、ってことは血の色も青いってことになる。


リーベゼーレが悪魔だなんて知らない天河は、その子が泣いてたから家族と

はぐれたのかと思った。

訳が分からないままのリーベゼーレは、さっきなにが起こったか天河に説明した。

絶叫系を降りたら友達がひとりもいなかったことを・・・。


「そんな不思議なことってあるんだ?・・・それで君ひとり残された?」


「あなた、悪魔じゃない・・・ですよね?」


「俺は人間、正真正銘の人間だし、まじ高校生だよ」


「じゃ〜ここは人間界なの?・・・ほんとに?・・どうしよう?、私どうしよう」

「どうしたらいいでしょう?」


「君、変な子だね、ここが人間界って聞いてなに驚いてるの?」


「私、いつもは悪魔の世界に住んでるの」


「悪魔の世界だって?・・・ってことは君は?・・・まさか?悪魔とか?」

「いくらなんでもそれはないよね・・・」


「悪魔です・・・女の悪魔、デモネス」


「まさか・・・そんなことある?悪魔って・・・まじで言ってる?」

「そうだって言われてもな〜そんなのファンタジーゲームの中でしか会った

ことないけど・・・」

「まあ、いいわ・・・とりあえず、よかったら君の名前教えてくれる?」


「私、リーベゼーレ・・・リーベゼーレ・ヴィーガン」


「リーベレーゼちゃん?」

「じゃ〜・・・リーベちゃんよろしくね・・・悪魔ね・・・コスプレじゃないよね」

「それメイド服だよね?」


「これメイド服じゃなくてゴスロリです」


「ゴスロリ?あ〜ロリータファッションか・・・なるほど」


「私の趣味だから・・・」


「まあ、ゴスロリってたしかに悪魔にはぴったりな衣装かもね?」


「まあ、それは置いといたとして・・・」

「ジェットコースター降りたらお友達が消えたってオカルト的なこと、それが

問題だね」

「家族とはぐれたって言うんなら、一緒に探してあげてもいいけど」

「俺もここにツレと来てるから・・・今は無理かも」


「あの、私、人間界なんて右も左も分かんないです・・・どうしたらいいと

思いますか?」


「いいと思いますかって聞かれても・・・」

「あの・・・もし俺がリーベちゃんを放って帰ったら・・・君は?」


「きっと私、明日の朝には凍ったままこのベンチで死んでると思います」


「この季節だもんね、それはマズいでしょ・・・君みたいな可愛い悪魔、凍って

死んじゃったりしたら悪魔界の損失だよ?」


「損失って・・・私以外にも可愛い悪魔たくさんいますよ?」


「君はここにしかいないんだから、他の悪魔のこと言ったってしょうがないでしょ?」

「悪魔界にいる悪魔がどれだけ可愛くても今の俺には関係ないからね」

「俺にとっちゃ君が悪魔かどうかってことより女かどうかってことが大事なの」

「例えば君が男の悪魔だったら、俺は声なんかかけてないからね」


「私が悪魔ってことにあまり驚かないんですね、女なら悪魔でも天使でもどっち

でもいいの?」


「そうだよ・・・俺の恋愛対象は男じゃなくて女だからね・・・」

「今も言ったけど、俺にとっちゃ君が悪魔かなんてことより女であることが

最優先なの・・・一番大事なことなの・・・分かった?」


「はあ・・・」


つづく。






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