4.温室

呑気に煙草を吸っていると店に似つかわしくないような、いかにも温室育ちのボンボンみたいな男が入ってきて注文してきた。

カメラも持っていないので配信者ではないらしい…というよりバッグすら持ってないので旅行者でも無いのだろう。

鶏肉とピーマンと玉ねぎを油多めの鍋に放り込みながら調理していると声が聞こえてきて、誰かが男と合流したようだった。


出来立ての炒め物を詰めて、男に手渡そうとした時にもう一人の方を見ると細身の銀フレーム眼鏡をかけた男の白いシャツに血が付いていて、最近、ここら辺りで台頭してきた集団か…と思った。排気ガスや砂埃で汚れるだろうに白いシャツが目印らしい。そしてボンボンに惣菜に惣菜を渡した時にボンボンが言った。

「あ、そうだ。君のお兄さんの首をあの牢獄マンションに投げ込むまでに何回も失敗したんだよ、コイツ」と銀フレームの眼鏡をかけた男を小突いた。

「これを君に渡すよ」と何も書いてない白いDVDを押し付けて二人は去って行った。

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兄が生首になりまして 湾野薄暗 @hakuansan

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