第2話

「ねぇ聞いて聞いて、やっと診断がおりたの」

鳩羽美咲は安心したような表情を見せた。

「起立性調節障害?」

「それとね、愛着障害と、、」

「みさ、、ほんとあんたって子は、、」

「あ、あとねぇ、、」

次々と出てくる知っていたり知らなかったりする病名を聞いているうちに

あぁ、、この子はこんなに苦しめられてきたのか。果たしてこれで報われるのか。

起きられないけど頑張って毎日午後から学校にきていた彼女は単位を取れるのか、、。

不安と安心とが共存して、まだ何とも言えない状態を保つ。


かくいう私も診断こそおりていないがおそらく心臓神経症である。

病名を聞いているとなんだか動悸がひどくなった。

「ねぇ、、で、さぁ、、」

歯切れの悪くなった私が言いたい内容を察知したのか

「うん。場所を変えよっか。」

と提案してくれたのでのった。


「、、どうやって死ぬかでしょ。」

「やっぱあれだよ、あれしかないじゃん。」

「でもあれはね、私一回やったけど後遺症残ることもあるから、、」

「うーん、、もし生き残っちゃったときやばいよねぇ、、」

「飲むなら致死量だよ、あの薬何錠だっけ?」

「えーと、、34錠。」

私たちは話していてなんかやばい密談みたいだな、、と思いつつも一刻も早く実行したい気持ちが強くて抑えられなくてひたすらそんなことを話していた。


「じゃあ実行日は今月の20日。場所は学校。見つかる時間をなるべく遅らせて生存確率を下げたいから飲むのは誰もいない教室。生物教室とかかな。でも一つ懸念点があるとしたらすぐ隣が病院だから、学校でやるのはちょっと、、って感じ。」

「うーん、、最悪さぁバスで近くの森とかまで行って首つってもいいんだけどね。」

「やめよう。それはだめ。生き残った場合後遺症えぐいから」

「そうか、、そうだね。」


というか、なんで私たちは死にたくなったんだっけ。

みさちゃんは親とうまくいっていない。

いつもは穏やかだけど親と喧嘩するとスマホを壊したり(もう何台もお蔵入りしている)包丁を突きつけあったりしてる。

前に喧嘩の最中親にあおられて薬を過剰摂取し、命に別状はなかったが意識がなくなり救急搬送されたこともあった。まぁ私は最近運ばれてないが。

加えて起きれないから朝から学校に行けない。真面目な子で色々興味があることがたくさんなのに起きれないせいでできなくて、いつも苦しそうだった。

一回リセットしたい、どうせ親は心配してくれないだろう、とのことだった。

だから今度こそは死にたいらしい。


ではかくいう私はというと、恋愛がらみである。失恋は慣れてる。それごときでは死ねない。違う、もっとやばい。それどころじゃない。



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