カミングアウト

@sharuru53

第1話

ふと目が覚めた。

時計を見ると朝の3時半だった。

もう一回寝ようとしたけど、結局眠りにつくことができず諦めて起きることにした。カーテンを開けてもまだ何も見えなかった。暗闇が広がっていた。

また中途覚醒しちゃったんだな、と少しばかり自分の体質に嫌気がさした。

日が昇っていないせいかもしれない。憂鬱な目覚めだった。


だらだらと時間を費やしてもいつもより早く学校に行ける世界線。

ちょっとした非日常を感じる。

はやいわね、と母親に驚かれ朝ご飯をいつもの倍の時間をかけて食べた。

今日のフルーツはりんごだった。

犬が食べたそうに吠えたのでさっさと口に放り込んだ。

いつもより3本はやい電車に乗って、誰もいない教室へと向かう。

道中みんな寝てるのが救いだった。教室に誰もいないのが救いだった。

私は人に会いたくなかった。そういう気分じゃなかった。


でもやっぱり、ずっと会わないわけには行かないよね。

「おはよ!みーちゃん!!」

といつも通り声をかけてくる人がいた。

幸せなことなんだけど。

私は自分勝手にも「今はそういう気分じゃない」と返したくなってしまった。

冷淡な私は手だけ振り返すことにした。

「朝練に来てたのか。道理ではやいわけよ。」

「部長だから忙しいのよ」

そう言いつつも笑っているあたり、おそらくこの子は順風満帆なんだろう。

羨ましい。彼女は元木楓花という。私の友達である。


私は楓花にあの件について話そうか、と迷ってしまった。

今は彼女以外人がいないからだ。だが。もう楓花を頼るのはやめた方がいい。

それにまた思い出して吐き気がしてめまいがした。

必死に抑えようとしたが楓花は勘が鋭い。

「どうしたの??ねぇ、、、みーちゃん!!」


私の記憶はそこで途切れた。


また記憶が戻ったらしい。

ふと目覚めると白い天井と黄色いカーテンの上の方、あとちょっと色とりどりな装飾がぶら下がっているのが見えて、あぁ、ここ見覚えあるな、保健室かな、と思った。

予想は的中した。

「あ!!戻った!!北条さん、聞こえる??」

保健室の宇山先生が心配そうに声をかけてくれる。暖かい、けど足りない。

「はい」

「あぁ、よかったわぁ、、急に倒れるからどうしようかと」

体を起こし時計を見るともう2限目の途中だった。

「寝てたんですかね?」

「うーん、寝てたっていうか死んでたわね」

「え、死ねてましたか?」

「死ねてたわよ~」

宇山先生は心から笑うけど、私の笑いは作り笑い。

よかったです、という言葉を飲み込んでそうですかと答えた。


私は本当はそのまま、本当に死にたかった。

君にとっては小さな悩みに見えるかもしれないけど私は君と違って弱いからね、

私にとっては、十分しんどいんだよ。弱くてごめんなさいね。

もしそれごときで死ぬなって言われたら私はこう返そうかなと思っている。


私はちょうど今、実行方法を悩んでいるところだった。













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