第3話 龍の舞う校舎
2時間目が終わり、20分程度の休み時間が始まった。チャイムが鳴ったと同時に燈真は走り出した。
「今日は3組の奴らと卓球しに行くぜ!」
「おい待て燈真!お前は今日も休み時間無しなんだよ!」
いつものように燈真と教室掃除3人くらいの追いかけっこが始まった。今日もお決まりの逃走劇が廊下で行われる。
「へへへ、そろそろ追いつくぜぇ…。」
教室掃除が逃げる燈真に追いつこうとした時だった。
「スターデバイスセット!頼むぜ、フレイムキャノン!!」
燈真は走りながら左手の手首にスターデバイスを装備して、フレイムキャノンドラゴンのカードをスターデバイスにスキャンしてから前に投げた。カードは空中で赤いオーラに包まれた後にフレイムキャノンドラゴンが2mくらいの大きさで実体化した。
「OK!任せな!」
フレイムキャノンドラゴンは燈真と並走した後に教室掃除に向かって飛んで突撃した。
「うわぁ~、化け物だ!」
燈真を追って走ってもうすぐ追いつきそうだった教室掃除はフレイムキャノンドラゴンが飛んで来た瞬間驚いて逆方向に逃げ出した。フレイムキャノンは逃げ惑う教室掃除を追う。そして大砲から炎を発射した。この世界では実際に何かを燃やせる火力は出せないが、放たれた風と熱は教室掃除を吹き飛ばすには十分だった。吹き飛ばされた教室掃除は廊下の端でゴミ捨て場のゴミ袋のように積み重なった。
「何なんだよあれぇ…。」
教室掃除の1人がいきなりドラゴンに吹き飛ばされた感想をこぼした。
教室掃除を撃退したフレイムキャノンはカードに戻り、そのまま燈真が走りながらキャッチした。燈真はそのまま卓球場に走って行った。
「みんなー、卓球やろうぜー!多分もうすぐハヤトも来るよー!」
「おう、燈真も来たか!早速勝負だ。」
「僕も来たよ。」
こうして燈真とハヤトは休み時間に3組の友達と卓球をやって過ごした。
一方その頃
「お前達、そんな所で何をしている。燈真のクズはどうした。」
黒美は廊下でまとめて倒れている教室掃除の男子達を見つけた。
「聞いてくれよ黒美、燈真の奴は化け物を…!!」
「化け物か。そうか、そういう事か…。」
黒美の表情は何かを確信したものになった。次の瞬間、手提げ袋から黒く輝く手の平サイズの宝石を取り出した。宝石を見つめた黒美は邪悪な笑みを浮かべていた。
給食が終わり、昼休みが始まった。
「ハヤトー、図書館行こうぜー!面白い漫画教えてー!」
「おい待て燈真。お前は休み時間無しなんだから大人しくしてろ。」
教室掃除が燈真に迫る。黒美は委員会の仕事で教室にはいない。燈真は再びスターデバイスを装備した。
「教室掃除もしつこいな。行け、ブレイズカイザー!」
スキャンされて投げられたカードから2mくらいのブレイズカイザーが実体化した。
「蹴散らしてくれるわ!黄金紅蓮斬!!」
ブレイズカイザーは黄金の刀を鞘から抜いて振り回した。
「うわー、また化け物だ!!」
ブレイズカイザーの刀から放たれる赤いオーラを まとった熱風が教室掃除を吹き飛ばした。教室掃除は教室の後ろから黒板の下に落ちて行った。
「せっかくだし今までの仕返しをしてやるぜ!王者の猛炎渦!!」
燈真は技カードをスキャンした。カードが赤いオーラになると、ブレイズカイザーの刀は天井まで届く、いや天井を超える勢いの炎に包まれた。刀が振るわれると炎の渦が教室掃除に襲いかかった。教室掃除は炎の渦に飲み込まれ、渦に沿って浮いたり床に叩きつけられたりした。こうして教室掃除が一方的に蹂躙されている時、教室の前のドアが開いた。
「調子に乗るな、クズが。」
冷酷な少女の声の後に黒いオーラを纏うカードがブレイズカイザーを目掛けて飛んで来た。次の瞬間、カードは紫の骸骨の鎧を纏った黒いドラゴンとなった。黒いドラゴンに続いて黒美が教室に歩いて入る。黒美は歩きながら技カードをスキャンした。
「行け、スカルアーマードラゴン。ナイトメアカタストロフィ!!」
スカルアーマードラゴンの鎧が紫に輝き、禍々しいオーラが鎧の頭に集まり黒い月のようになる。
「負けるか!インフェルノファイアブレス!!」
ブレイズカイザーの口に赤いオーラが集まり、巨大な炎となって黒い月に向かって放たれる。スカルアーマーの黒い月も炎に向かって飛んでいく。
教室の中心で2つの巨大なエネルギーがぶつかると爆発が起こり、2体のドラゴンはカードに戻り持ち主の手元に戻る。
「明日の2時間目休みにスターカードで決着を着けよう。私が勝ってお前の休み時間を奪ってやる。せいぜいクズなりに準備しておくんだな。」
「はぁ?俺が勝つからな!勝って罰ゲームやめさせるからな!」
こうして燈真と教室掃除の争いはカードバトルで決着を着ける事になった。他の生徒達はよくわからないがこの戦いを見守るしかなかった。
この日の夜は、流れ星がよく流れる夜だった。
スターカード ダメ社員 @dameshine
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