第2話 龍の住みか
カードの裏側は全て黒い背景に星が入っている共通のデザインであり、表にはドラゴンなどのモンスターや刀などのアイテムのイラストが入っている。イラストの下には何か数字や説明が書いてある。
「まるでデュエル王だな。」
燈真はカードを1枚1枚眺めてクラスで流行っているカードゲームを連想した。部屋でカードを見ていると、突如飛行機から落とされたように燈真は天空に放り出された。
「ってえええええ!!嘘だろーー!!」
落ちる燈真は空中にいたはずだったが、すごいスピードで飛ぶ何かの上に着地した。
「迎えに来たぜ。掴まってな!!」
空を飛ぶ何かが話かけてきた。燈真を乗せて飛ぶものは1体のオレンジ色のドラゴンだった。ドラゴンは博物館で見たティラノサウルスの化石くらいの大きさで、銀色の鎧を着て背中に大砲を背負っている。燈真は目をつぶって必死に大砲にしがみついた。
「なんなんだよ、もうーー!!」
「俺はフレイムキャノンドラゴンだ、よろしくな。お前が燈真だろ。ちょっと来てもらうぜ。」
地面に近づくに連れてフレイムキャノンドラゴンの飛行速度は下がっていく。燈真は少しずつ目を開けた。空は夕暮れのように赤く、巨大な鳥やドラゴンが飛んでいる。大地には巨大な荒野や森や湖などが広がっていて、小型のドラゴンやゴブリンなど現実にはいない生物が見える。
「なんだこれは…。」
「ここは俺たちの世界だ。お前の住む世界とは違う。もうすぐ着くぜ。」
フレイムキャノンが止まった先には巨大な金属のスクラップを適当に組み合わせて作った建物のようなものがあった。街で1番大きい体育館くらいかそれより大きい建物だ。フレイムキャノンは腕で強引に建物の扉を開けた。
「へい大将、連れて来たぜ。」
燈真はドラゴンを降りて歩いて建物に入る。建物の中は真夏のように暑く、金属を適当に加工したような机や椅子が乱雑に置いてある。歩いていると博物館の恐竜の化石のように大小様々なドラゴンが歩いたり椅子に座ったりしている。建物の奥に歩くとフレイムキャノンよりもずっと大きいドラゴンが巨大な椅子に座っていた。ドラゴンは真紅の体から強烈な炎のオーラを放ち、黄金の鎧と兜を身に纏っている。
「ご苦労だったフレイムキャノン。お前が赤城燈真だな。会いたかったぞ。」
巨大なドラゴンの声はこの世界に来る前、宝石を手に取った時に聞こえた威厳のある声だった。
「その声はここに来る前の…。」
「その通りだ。我が名は炎龍将ブレイズカイザー。私はここからお前の世界を覗いていた。どんなに無茶な戦いも諦めずに挑むお前の熱さを気に入った。だから力を貸すと決めた。とりあえずさっきの宝石とカードを出してみろ。」
燈真はポケットから宝石を取り出した。カードは宝石に入っている。
「宝石を左手に当ててみろ。」
燈真は宝石を左手の手首に当てると、宝石からベルトが出て来て腕時計のように手首に巻きついた。
「宝石はお前が私達の力を使いこなすためのスターデバイスという。そしてカードは私達のどの力を使うかを選ぶスターカードだ。私達はお前の世界では力をほとんど発揮できないが、並の人間、例えばお前がいつも戦っている教室掃除とやらくらいなら簡単に退けられる。召喚したいモンスターのスターカードをスターデバイスにスキャンして力を使うのだ。」
「それは心強いや。これで教室掃除と戦える…!!」
「ただしスターデバイスとスターカードを持つ者とは決闘になるぞ。スターカードを使ったカードバトルだ。」
ブレイズカイザーは燈真にスターカードのルールを説明した。燈真はデュエル王の経験のおかげでルールを覚える事ができた。
「説明は以上だ。私達の力を使いこなしてみろ。」
「じゃあな、燈真。これからよろしくな。」
2体のドラゴンが別れの挨拶をすると、いつの間にか燈真は自分の部屋に戻っていた。時計はドラゴン達の世界に行った時から進んでいなかった。
「教室掃除、倒すぞ……!!」
翌朝、燈真はランドセルを背負い、ポケットにスターデバイスを入れて学校に向かった。
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