政府主催の学婚相手がとある財閥の美少女で、何故か即婚約成立となり彼女と結婚することになったのだが...。
田中又雄
第1話
政府が少子化対策の一環として考えたのが、【学生婚活支援活動】通称【学婚】。
主な内容は一定の地域内の学生を対象に、AIを活用しながら性格や見た目など、総合的な指標から相性のいい男女が2人選ばれ、その2人でお茶をするというもの。
現在日本は少子化が問題となっており、海外からの受け入れだけでなく、日本国内でも解決されるべく、出会いの場として...そして、男女で話すことにより男女のコミュニケーション能力を高めることが目的とされている。
もちろん、二人が会う場所などもきちんとしたホテルが取られており、2人きりであることを意識させるような空間が演出されている。
学生にとっては楽しく、また少子化を解決させるために貢献しているということもあり、その活動の幅はどんどん広がり、今では私立国公立問わず、全ての高校で採用されている。
それは我が校も例外ではなかった。
そして、先日答えたアンケートから俺の相手が決定し、本日担任の先生から紙を渡される。
「
それは相手の情報、日時、場所が書かれた紙であった。
「...ありがとうございます」
正直、俺はこういうのに参加をしたくない。
しかし、それは半強制であり、もし行かなければ修学旅行を休んだのと同じく、内申点等に響く可能性があり、AO入試や指定校推薦を狙っている俺からすれば到底サボれるものではなかった。
だから、去年もとりあえず行ったはいいものの、話を盛り上げることもなく、静かに終わりその子とはその後会うことは一度もなかった。
その後、何事もなく学校を終えて家に帰ると、その書類に目を通す。
相手の名前は...
その名前を見て、思わず「...は?」という声が出る。
この辺りで秋乃島と言えば、間違いなくあの秋乃島グループの一人娘であろう。
秋乃島グループは農業、不動産、アミューズメント施設など、幅広い事業を展開しており、なおかつその全てで5本の指に入るほどで有名だった。
そのため、全国的にも有名でかつ、その代表取締役の娘である彼女もメディアにもちょくちょく出ており、その美貌もまた全国的に騒がれるほどであった。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093087972305404
念の為、相手の高校を確認すると、やはりあの有名なお嬢様高校である【星林女子高】と書かれていた。
それは間違いなく、あの彼女であることが確定した瞬間でもあった。
おいおい、AIで判断して選んでるんじゃねーのか?何で俺なんかが...。
俺は何の取り柄もないただの高校2年生。
特筆することは何もないし、頭がいい高校に通っているわけでもないし、スポーツやそれ以外の何の才能もない。
どう考えても釣り合わない。
何かの間違いかと思っていたが、その後特に訂正されることもなく日時は過ぎていき、あっという間に彼女とのお見合い日になってしまうのだった。
◇6月15日
「ちょっと!?タグついてるわよ!ちゃんと切っておきなさいって言ったでしょ!」と、母さんが俺に言う。
「...」
相手があの秋乃島であると知って、張り切りまくって新しい服を無理やり買わされたのだ。
どうせあの彼女とワンチャンなんてないのに...と、思いながらタグを切り、家を出た。
集合時間は13:30。現在の時刻は12:45。
そうして、駅前にあるホテルに入ると、受付を済ませて案内された部屋に向かう。
1001号室か。
そうして、部屋に到着すると渡されたカードキーをかざすと鍵が開く。
そのまま中に入ると、すでにベッドに腰掛けて彼女が待機していたのであった。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093087974475828
テレビで見る以上に綺麗なその姿に思わず言葉に詰まる。
しかし、俺を見るなりがっかりするわけでもなく、彼女は楽しそうに微笑むだけで何も言わない。
「...あっ、初めまして...。
すると、彼女は立ち上がりこう言った。
「男の子は3人、女の子は2人かな?」
「...はい?」と、その意味が理解できず聞き直す。
「私たちの子供の数に決まってるじゃん。もう少し多い方がいい?」
「...は?」
すると、彼女は俺の情報以外が書かれた婚姻届を手渡されるのだった。
次の更新予定
政府主催の学婚相手がとある財閥の美少女で、何故か即婚約成立となり彼女と結婚することになったのだが...。 田中又雄 @tanakamatao01
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