漂流編

第1話 海

 波止場では丸太が打ち寄せる波と一緒にもう何本も近づいては漂着している。

「おやっさん、この丸太なんにつかうんですか?」

 こりどうがきいた。

「捨てるだけだ」

 漁師はぶっきらぼうに答える。

「じゃあ、僕たちがもらってもいいですか」

「だめだ」

「なぜ? 捨てるだけだのに……」

 漁師は髪をかきまわした。「もう! いいよ……」


 こうしてテツたちは丸太で乗り物を作り、隣の国――バル国をかけまわりはじめた。

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アラバキ国物語 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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