第10話 その頃のクラスメートたち(2)

 王宮の中にある工房。その工房の外でタツヤとコウキとショウタが話し合っていた。


「やっぱり部屋の中だけじゃなくて工房の中にも遠視とおみの魔法用の水晶があったよ。今までの事を思い出してみたけど、部屋の中や工房では大事な話をしてこなかったから多分大丈夫だと思う」


 コウキがそう言うと二人が頷いて同意を示す。


「ここには何も無い事を僕のスキルで確認してあるけれど、それでも出来るだけ短時間で相談しよう」


「分かった。それで、どうするんだ?」


「タツヤは端材の鉄を集めてせめて短剣を三本以上作ってくれないかな? 親方たちにバレずに出来る?」


 コウキがそう聞くとタツヤは首を横に振る。


「無理だ、だけど俺の親方ならば信用できる。いっその事短剣が欲しいんですと言って作らせて貰う事にするよ」


「う〜ん…… 理由はどうするの?」


「単に俺の作った武器をお前らが記念に欲しがっているって言おうかな?」


「あ〜、うん。僕、タツヤの短剣が欲しい。それで滅茶苦茶に刺してやるんだ!」


「ショウタ、落ち着け…… 気持ちは分かるが俺たちじゃ敵わない……」


 タツヤはショウタを宥めるがショウタはまだ怒りがおさまらないようだ。


「でもミツキちゃんまで、あんな事をさせられて!!」


「分かった、ショウタ。でも落ち着いて欲しいな。僕たちはちゃんと計画してここから逃げ出さないと、ミツキも助けられないよ」


 コウキの言葉にようやく落ち着くショウタ。


「でもアカリちゃんとマサネちゃんはどうするの? 助ける?」


 ショウタの質問にコウキは


「うん、僕はマサネと一緒に逃げたい」


 そう言い、タツヤも


「俺はアカリを連れて逃げるぞ!」


 そう宣言した。


「幸いにして僕たち生産職にはアイテムボックスがある。容量はまちまちだけど、それでも役に立ちそうな物はどんどん入れていこう。いつ逃げ出しても大丈夫なように! 休憩時間ももう終わりたから、今日はここまでにして、明日からも相談しよう!」

 

 コウキたちはそうしてそれぞれの工房へと戻っていくのだった。


 その頃、リョクヤは高級娼婦を相手にハッスルしていた。


「ホラホラ! 俺様のビッグマグナムで奥の奥を突かれるのはどうだ!」


「ああー、いいわ、勇者様!!」


 事が終わり帰り際に宰相の部屋に寄って言う高級娼婦。


「ちょっと、いっつも私ばかり指名するんじゃなくて他の子にも振ってちょうだい! あの勇者様の相手は私じゃなくても良いと思うわ。お粗◯ンで入口ばかり擦られるから摩擦で炎症を起こしかけてるのよ、これじゃ他の相手が出来ないわ! もちろん、あなたの相手もね!」


 言われた宰相は困った顔をする。


「いや、しかしだな…… 勇者リョクヤ様は高級娼婦をご指定されていてだな…… けれどもマジョリカじゃなくても良いか……」


「大丈夫よ、きっと、あのお粗チ◯勇者様なら顔とスタイルが良ければ高級娼婦だと思うわよ。そうだ!! ダンディレディの下処理の済んでるたちにしなさいよ! あの娘たちなら喜んで相手するわよ。演技も上手だしね! 顔もスタイルも抜群だし!」


「おお! その手があったか! 良し、次回は試しにそうしてみよう!」


(娼館【ダンディレディ】とはオトコの娘の娼婦が働いてる。その中でも下処理(チン◯ンを取って穴あけ済み、内部ジェル内蔵)済みのたちは一部のコアな人たちに大人気である! 下処理は教会で大金二千金で行って貰える)


 こうして、その後リョクヤの相手はある意味高級な娼婦となったのであった。そして後にリョクヤを脅かす存在がそこに居ることをこの時は誰も知らなかった……


 カオル、ミドリ、サヤカの三人は真面目に訓練を受けて順調にレベルアップしていた。今は四級である。 しかしながら当初の考えを捨てて王宮に留まるつもりになっていた。

 それは……


 カオルとミドリが猫なで声で話しかける。


「ねえ、ユーリ! 今日の私はどうだった?」

「いやいや、カオルより私の方はどうだった?」


 そしてサヤカも


「アヤネ〜、見ててくれた〜」


 王女により三人に接近したユーリとアヤネによって骨抜きにされていたのだった。それにより、コウキたちは夜の相手をせずに済むようになったのだが、雑用は相変わらず言いつけられている。


「カオル様もミドリ様も素晴らしいです! もはや王都近辺の魔物ならば簡単に倒せるでしょう! 私もお二人の強さに興奮しております! 今夜はお二人とも寝かせませんよ!!」


「サヤカ様、とても素敵でした! もしもの時は私を守って下さいね!」


「キャーッ、ユーリったら、こんなトコでそんな大声で言っちゃダメよ!」

「ウフフフ、ユーリ、またアレをしてね」


「勿論よ、アヤネ。貴女は私が守ってみせるわ!!」


 その様子を部屋組の女子たちが面白くなさそうに見ていたのだった……


「下級職の癖に調子に乗りすぎよね!」

「ホントね、そろそろ痛い目に合せないと!」


 などと、競争心に火がついて部屋組の女子たちも真面目にレベルアップに取り組みだした。


 男子たちは…… 相変わらずであったが。


 王女はとりあえず思惑通りに事が進んでいるとほくそ笑み、王太子はなかなか真面目に訓練を受けない男子たちに腹を立てていたのだった……

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