第6話 今日の友?

 「…どこまで知ってるの。」

長い沈黙の後に先輩は言った。話を聞くことくらいはオッケーのようだ。

「副会長と付き合ってたんですよね?だけど、その関係がお遊びみたいなもの

だったご様子で…。あっさり捨てられて、今副会長は会長と見せ付けるみたいに

恋仲になっていて…。」

「止めなさい!」

小さな空間に声が響いた。寝取られってやつだし、傷はそう簡単にふさがらないよね。

「はぁ…。つまりは全部って事ね。よりにもよってあなたが知ってるなんて…。」

「私はそういう恋愛事の経験は無いので、軽くは言えないんですけど…。

とりあえず先輩は何一つ悪くないですよ!悪いのはあっちなんです!人の事を

オモチャみたいにして…。」

「それで?この私に頼みたい事があるの?」

 どうやらこちらの行動はお見通しのようだ。元ではあるが、生徒会に抜擢ばってきされる

程の校内の実力者。少々ではあるが、目つきも生徒会の時の感じに戻った気がする。

「あはは…そんな事は…。私はただ先輩とお話がしたかっただけで…。」

「ここ、三年の教室棟ですのよ?まずあなたがここに来る理由は無いし、三年で

あなたに関係深い人物は大抵たいてい委員会関連ですもの。さあ、早く言いなさいな。」

 よし、作戦は成功!まさかこんなにスムーズに話が進むとは思わなかったけど。

私はただ、『生徒会の百合関係が破綻はたんした』って情報からこの先輩に目を付けて、

図書委員から二人借り受けて一芝居ひとしばい打ってもらっただけだし。この先輩、単純!

こんな単純だから捨てられる…って、こんな事言ったら怒られるかな?

「じゃあ遠慮なく。水無月先輩、私達に生徒会の内部について教えてください!」

根掘り葉掘り聞いてやる。全部吐き出させて、弱点をあばき出す。前回は何より、

生徒会の全力さえも知らなかった。こんな機会を逃しちゃならない。

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生徒会戦挙II 百合丘 城奈 @5132

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