第5話 昨日の敵は…
去年の今頃とは全然違う。頼る先も、
このアドバンテージは大きい。それに、実行中の計画もしっかりある。
今はまだ私の胸の中だけに秘めておこう。他に実行したい作戦もあるからね。
作戦のターゲットは、水無月伊予先輩。生徒会役員を降りてから校内で
注目されている存在…悪い意味で。原因はやはり、普段の態度と執行部内での
言動だろう。公式に理由も無く解任され、その後任に後輩の
就いたため、生徒会内の不祥事の責任を負わされたのだろうと勝手に噂が
立っている。当の本人は、その噂を気にする事なく毎日登校はしている。
ただ、表情はいつも暗い。
「水無月さん!私の妹を随分と可愛がってくれたわね!謝罪の言葉も
無いの!?何とか言ってよほら!」
「私の友達も手首に傷あったんだから!これで頭冷やしてれば!?」
水音からしばらく経った後に、私は小綺麗なトイレの中に入った。
そこには全身ずぶ濡れの先輩の姿があった。先輩が私の方をゆっくりと見る。
「…笑いたければ笑いなさいな。これが今の私。学校には仕方なく
行ってる。親を心配させたくないもの。生徒会を解任された事だってまだ
隠してるわ。さあ、分かったなら戻りなさい。着替えたいの。…早く!」
声を荒げる忠告を聞く事も無く、私はそのずぶ濡れの手を取った。
「すみません先輩、全部知ってるんです。…諸事情で。でも、知っている上で
お願いがあります。あなたの力を借りたいんです。水無月先輩。もうあなたは
生徒会の一員じゃない。じゃあ、私と敵対する理由も無いですよね?」
放課後に毎日様子を伺ってタイミングを
早い方がいい。本人はこう言ってるけど、毎日来るって保証も無いし。
良くも悪くも生徒会内の事情に詳しい人。それに、性格上絶対に
この人をこちら側に引き入れる事が、今重要な作戦。
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