第28話

「藍樺ちゃん達は座れるんだね…やっぱり私は邪魔者だね…っ」





今にも泣き出しそうな様子で私に悪意に満ちた一言を投げかけてくる紗亜耶。




でもその手で覆っている口元は笑みを抑え切れていないことに私は気づいてる。



「おい!また紗亜耶を泣かせやがったな、ブス女!」




ほーら、騙されていることに気づきもせず突かかってくるアホがいる。



この吠えている犬、神楽岳斗と私を今だに睨みつけている奥山陸は紗亜耶の魂胆には全く気づいてない様子。




風斗たちなんか紗亜耶の上がった口角を見逃さなかったのか嫌悪感を抱いた顔をしているというのに。




「はあ…どうしたら私が紗亜耶を泣かせたことになるのよ…」





深く、それはもう深ーいため息が私の口から漏れる。



馬鹿馬鹿しい茶番に付き合うよりも早く食事にしたいのだけど。






そうはいかないらしい。



「久遠藍樺。紗亜耶に謝れ。」





奥山陸が私へと鋭い目を向けながら謝罪を迫ってくる。




「おい、奥山。藍樺が何もしてねえってわかんねえ?節穴か?お前のその目と耳は。」





今まで黙っていた密琉がついに口を開いた。


どうやら奥山陸の周りの見えていない発言が癇に障ったみたい。

密琉が言ってくれなかったら私が言ってたからよかった、と一安心。




当の奥山陸はさっぱり理解していない雰囲気。



よく生徒会長なんて務まるな。うちのメンバーはみんなそう思ったらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

風藍鬼 @teika_bookjunkie

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ