第39話

すると、絵梨は言った。



「さて、ご飯たべれる?


ちょっとでも食べないと、薬飲めないから。」




「…食べる。」



そう答えると、安心したように笑って消化に良い食べ物を持って来てくれた。



いわゆる、あーんで食べる俺。


いつもこんな事してくれないから、たまには良いかなーと思ったけど。


これが。…予想以上に恥ずかしかった。



でも、何とか全部食べ終えて。


すると、絵梨が言った。



「さて。薬飲もうか。ちょっとでも早く治りますように。」




「ありがとう。」



絵梨の優しさが言葉の節々に感じられて、嬉しくなった。


だけど絵梨は、続けてイタズラに笑いながら言ったのだ。




「うつったら看病してね。」


そう言ったかと思えば、薬を自ら飲んで俺に口移し。




「…っ…はっ!?」




珍しい…。


自分でも、顔が赤くなってるだろうなと思うほど、顔が熱い。


絵梨はそんな俺の反応を楽しんだ後、「お大事に。」

と言ってホテルのベットルームを出た。



ったく…。


何可愛いことをやり逃げしてくれてんだよ。




「あいつ…治ったら覚えとけよ。」




そう呟いた後、早くも薬の副作用か、眠くなってきて。


朝まで起きれなかったけど。


熱は絵梨の献身的な看病のおかげで良くなっている。



でも。


絵梨がその後熱でダウンしたという事は、言うまでもない。

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色とりどりの花束を… @tayddb25

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