ちょっぴり過酷な世界を生きる——
りーぱー
プロローグ 始まり始まり
晴天の空、秋から冬への変わり目であることはこの澄んだ空気からも
人々が行き交う交差点は今日も
「はぁ」
(今年は冬が始まったばかりだと言うのに妙に寒い)
そんな中、彼女は歩きを止めることなく、交差点を抜け、会社までの道のりを辿っていた。
(会社までは…、後少しか)
「やだなぁ」
心で思ったことが声に漏れると言うのは良くあることで彼女もまた例外ではない。
(あぁー、仕事したくない、家でダラダラしたい、
ビルが立ち並ぶそんなよくある空間で、ふと自販機の前で足を止める。
(おっ、おしるこあるじゃん!買おう)
—ガシャン
おしるこが自動販売機から落ちてくる音だ、“私”はおしるこを手に取りその場で開ける。
—ゴクゴクゴク
おしるこを飲み干す音だ、中に入っている小豆がうまく出てこないので苦戦する、舌を使ってうまく取り出すと私は満足したのでそれを自販機の横にあるペットボトルと缶専用のゴミ箱の中に入れる。
おしるこを飲み満足したところで、会社に向かい、歩みを進める。
会社に着くと、私は入館証を機械に押し当てる。
オフィスに向かって足取りを進める、暫くすると私のデスクにまで辿り着く、私はこれから今日の仕事を終わらせるのである。
時計は7の数字を指していた。19時、その時間に私は退社する。
これが今の私の日常だ、こんなルーティーンをずっと続けている。
「外食しよっかな」
ちょうどいい時間なので、今はお酒とかそう言うのが飲みたい。私は近くにある居酒屋をスマホで調べる。目についたのは。
「……鳥貴族」
(ここなら、近いし安い。ここで1時間ぐらい居座って帰ったらちょうどいいぐらいかな)
私はそんな事を考えながら鳥貴族へ向かった。
白餡が少し心配だけれども、私は大丈夫だと知っている。なぜなら家には自動水やり機と自動餌やり機があるからだ。家に帰ったら目一杯もふろう。そんな決意を、胸に抱いて。
「ここ…、かな?」
私のついた場所には看板でデカデカしか鳥貴族と書いてあった。
ここまでくるとここが鳥貴族じゃないと思う人はいないだろう。
私はそこへと足を踏み入れる。その時。
背後からの気配だろうか、そんな物だった。そんな不確かなものがだんだんと確信に変わっていく。
——ブゥーブゥーブゥーブゥー
——ドンガラガッシャーン
軽自動車程度ではこんなことにはならないだろう、そんな大事故だった。
暴走したトラックが私目がけて突撃したのである。
トラック自体に私を狙う意図はないだろうが、私には、私の目にはそう映っていた。
視界が明確にならない、けれど私の感覚は正常だった。
足の方向が痛い、けれど足が機能しない、下半身もだ。今私の目の前には大きなトラックであろうものと、残骸だけだった。
「……あ……あ」
(人生ってこんなあっさり終わるんだなぁ、白餡は数日生きれると思うけど
————また来世で
————————————————————
目が覚める、知らない天井が視界に映る。
「ん、」
(ここ…、どこ?)
そこは人工的とは程遠い、自然な光。それも松明や蝋燭のようなもので照らされたような光が明るさを保っており、私の見る限りでは今は夜なのだとわかる。
私が今寝ているであろう所は羽毛でできてるようにふかふかで、以前までの硬いベットとは違い、体が吸い込まれるような夢見心地の感覚を覚える。
私はその感覚に身を委ね、すると次第に睡魔に飲み込まれていき、私の意識はそこで途切れた。
意識が途切れた後変な感覚がした。何かに侵食されるような、何かを蝕む様な、貪欲な獣に巣食うそんなものが私の体に広がっていく。
それは、痛みとかそんな単純なものではなかった。
体を蝕んでいくそれは、私の精神に曲がりする様に留まっていく。
いずれにしても私の体?には何か重大な変化が起きたのである。
————————————————————
「魔法陣魔術真理説…魔術を行使するときに発動する魔法陣には魔術を構成する情報が書き記されており、魔法陣の図形にもまた意味があるといった説」
あれから6年が経った。私の暮らすこの家はケムダー男爵家の家だ。
私こと、アリア•ケムダーはこの特に特産品と言ったものがない、自然豊かなケムダー男爵領で生まれた。
私がこの世界に誕生してから6年、さまざまなことがあった。
いや、私にとって新鮮なことが多すぎたのだ。
“魔術”、私がこの世界で1番注目したのがこの技術だった。
『魔術』
•魔術…それは生物に存在するマナを
•魔術の種類…魔術には種類があり、人により適性が異なる、代表的なのは、“水”“火”“風”
“土”の四大属性で、ほかの属性はこの属性から派生するものと、自然に影響を受けて与えられる特殊属性に分けられる。また、特殊属性の代表的なものは、“音”“光”“闇”“聖”“無”などである。これの派生も存在する。
•魔術の位階…魔術には位が存在する、そのくらいは使う魔力の量や詠唱の長さ、威力や効果によって定められており、それを人々は位階と呼ぶ。1~6位階が一般人や学士に使える限界の位階で、それ以上の6~10位階は宮廷魔術師レベルでないと使えない。また、10~14位階までの魔術を禁呪、15位階以上を神呪と呼ばれ、これらは周囲の生態系に以上を与える、地形を変えるなどと言った人や生物には使うことのできないような魔術である。
•魔法陣…魔術を行使するときに出現する魔術の核であり、マナの集合体。
•呪文…魔術を発動するために“必須”な言霊の集合体。
•マナ…生命の木セフィロトから生物に与えられていると信じられているもの。自然へ影響するエネルギー。
私は生まれてから今現在まで魔術の研究をしている。
本から得られる知識や、親の言う知識だけでなく、自分で実験して試すと言った事を行っていたのである。
(魔法陣魔術真理説によると、魔術を構成する魔法陣こそが魔術の根幹なんだよね?だったら呪文の詠唱って必要なのかな?)
私がこの本を読んで一番最初に思いついた事だった。
5歳の頃にこれを思いつき実験した。
一番初めに行った実験は失敗だったけれど、試行錯誤をしていくうちに成功へとたどり着いた。
要は一番重要な魔法陣を暗記していればいいのだ。魔法陣を暗記して、それを頭の中で形成、それと同じような形にマナを込めてイメージする。
すると成功した、このときが、私の世界初の無詠唱魔術師になった瞬間だった。
今迎えるのは7歳の鑑定式だった。
ちょっぴり過酷な世界を生きる—— りーぱー @jacknextplay
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