第2話 物語の始まり

 ピピピピピピピピピ...


「ん、、、」

タイマーの音で目が覚めた。時計を見れば七時半を過ぎていた。

「...ん?...............時間やべぇ!?」

慌てて起き上がり、学校へ行く支度をする。まさか今日みたいな大切な日に寝坊しそうだなんて...


 僕の名前は糸瀬柊。至ってどこにでもいる普通の男子高校生だ。

1月13日、今日は成人式である。

うちの高校では高3だと必ず出席し、成人を祝わないといけない。まぁ、祝うよりも大事なことも有るのだが...


 成人式と同時にすることといえば、目分けである。

成人すると同時に、ステータスという、いわば能力を数字化したものが見ることができるようになるのだ。この数字によって人生が大きく左右することも少なくないので目分けと呼ぶようになったそうだ。

小学生のころ自学で意味調べたな...懐かしい。

そんな話はおいておいて、今日がどれだけ大切な日か分かるだろう。

そんな日に寝坊...まあ自分らしいとは思う。


 リビングに降りても人の気配はしなかった。

机の上にメモがおいてあった。母からの伝言のようだ。

『先に行くよ!チャリででも追いかけて!』

起こしてくれよと思いながらも支度を着々と進める。


 この時間からだとバスだったらどうしても間に合わないので、メモに書いてあった通り、自転車で行くことにした。冬の寒さも本腰になってきて、最近は霜が葉に降りている。


およそ30分後...


「ハァ...ハァ...ハァ...着い...た...アァ.....」

息切れをしながらもなんとか学校に着いた。寒い。

体育館に向かっている間に後ろから声をかけられた。

「あ!柊くん!」

振り返ってみると見慣れた幼馴染の顔。

彼女は小中高ずっとクラスが同じな駒宮はる。最初に会った時から身長が変わっていない気がするのは気のせいだろうか。

「あぁはる。冬休みの間元気だったか?」

「うん!けど...ちょっとさみしかったかも?」

「それ毎年夏休みにもGWにも言ってたよな?」

そんな他愛無い話をしながら体育館への道を歩く。

「もう今日で大人の仲間入りなんだよ?まだ実感がわかないなぁ。」

「そんなもんだろ。あと成人になるのって自分の誕生日の日じゃないのか?」

「ん〜わかんない!」




彼らはこの後の目分けで若干騒動が起きるのを知る由もなかった...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

平凡生活を送りたかった18歳の僕。いつの間にか偉業を成し遂げ第2勇者となってしまう ギメイ山田 @feeder

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ