第4話
今日も俺はライトウェル侯爵家に向かった。
あの日から毎日アイリスに会いに行っても侯爵夫人に『アイリスには会わせない!』と、門前払いをされていたが、土下座して会わせて欲しいと懇願したら、『アイリスが、会ってもいいと言ったら会わせる』と、約束をしてくれたのだ。
あの日、なぜアイリスは泣きそうな顔をしていたのか、気付かぬうちに俺がアイリスに何かしてしまったのか、もし何かしてしまったのなら謝りたい。アイリスがいない人生なんて考えられない程に愛しているんだ!
今日こそはアイリスが俺と会ってくれる事を願いながらアイリスの返事を玄関ロビーで待っていると、妹のクラリスが俺に纏わりついてくるのだ。見た目は似ているが、儚げな美しい姉のアイリスとは違く、可憐で可愛らしく愛嬌があると言われているが、俺は全く興味がない。それどころか、鬱陶しいと思っている。姉の婚約者に触れるなど、ありえないだろ!
なのに、ここぞとばかりに「お姉様はお休みしているので、私のお部屋で話しましょう」と、俺の腕に胸を押し付けながら腕を絡ませてくる。気持ち悪いがアイリスの妹だから無碍には出来ずにいた。本当にやめて欲しいです!アイリスにならいつでも歓迎だがな!
「ミハイル様〜!会ってくれないお姉様より、私とお話しましょうよ〜!」
「ライトウェル嬢、困ります。腕を離して下さい」
「ええ〜!なんでですか〜?」
「私はアイリスの婚約者です。他の女性に触れられるのは困ります」
「妹ならいいじゃないですか〜!それに〜」
今度はクラリスは甘ったるい声を出しながら、右脚を俺の左脚に絡ませてきた!気持ち悪い!アイリスの妹じゃなかったら突き飛ばしている!そんな衝動を抑えながら、脚をずらして離れさせると、今度は腕を回してきた。てか、婚約者の妹なのに
「私〜、ミハイル様と〜、もっとも〜と、仲良くなりたいのです〜!」
その言葉に俺は我慢が出来なくなってしまい、腕を掴んで引っ張り剥がすと、大声で怒鳴ってしまった。
「いい加減にして下さい!私はアイリスの婚約者なのです!ライトウェル嬢!これ以上私に、触れないで頂きたい!」
「いったい、なんの騒ぎだ‼︎」
最悪だ……、このタイミングで侯爵と侯爵夫人が来てしまった……。俺はアイリスに会いたいのに、なんでアイリスが来ないんだよー‼︎はぁ、泣きたくなってきたよ……。
溺愛してくる婚約者の、私を罵倒する心の声が聞こえます! @Tma27
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