第二章 街での出来事

1-25.アーシェルティ・ケルティエンズ・キィエルタイザラの概要

 翌日、俺はコトコトと馬車に揺られていた。麦わらという分厚い座布団がなければ道中で腰の骨がイカレたかもしれない。


 街への帰りで、村からの荷を積んでいるものだから俺たちは馬車3台に分かれて乗ることになった。匂い物などを混ぜて載せるわけにはいかないので、3人一緒に馬車には乗れない。フィエは織物の海で寝転がり、ララさんは干し肉の入った箱と同乗している。


 俺は馬車に乗らず鍛錬のために歩いた方が良いかと思ったが、ララさんから休んで鋭気を養うことを優先するように言われた。




 俺は御者席のおっちゃん、商人ケリルトンのすぐ後ろに乗っていた。いい機会なのでもっと情報を仕入れておきたいところだ。


「ケリルトンさん。俺たちはこの件、これで終わらせるようにします。


 中立の立場を取られている方に図々しいことは承知の上ですが、これからの交渉事の成功率を上げるために、是非にも教えて頂きたいことが」


「御三方の情報でございますね。構いませんとも。


 では……まずはアーシェルティ様のことですかな」


 フィエを派閥に取り込みたい女の人だっけ。俺が一番聞きたかった目当ての人物とは違ったが、それは後でもいい。情報は得ておこう。


「簡単な内容のことしか知らないので、お聞きしたいです」


「承りました。


 アーシェルティ様はわたくしの他に、ライラトゥリア様も関わりを持つ方でもあります。主に棒術の訓練相手ですな。


 ……ああ、コバタ様は『ララさん』と呼ばれていましたな。それは略称に当たりまして、正式な名前はこちらになります」


 意外なところからララさんの正式名を知ることになった。割と長い名前だ。フィエに倣って『ララさん』と呼んでいたが、結構馴れ馴れしい呼び方をしてしまっていたのかも知れない。


 商人ケリルトンは馬の手綱を繰りながら続けて話す。


「アーシェルティ様は御年19歳の御令嬢なのですが……」


「……え、19なんですか? ……それで高い地位にいるんですか?」


 いきなり商人さんの話の腰を折ってしまったが、権力者というからにはてっきりもっと歳のいった女性かと思っていた。若い。そういえばララさんからもフィエからもアーシェルティの年齢なんて聞いてなかった。


「ええ。お若い頃から聡明で、意志の強い方でしたから。


 ご実家は名のある貴族です。幼少期からの教育もあり光教団に出仕された頃から大人びておられましたな。家名に甘んじず下働きや学業、重責や危険を伴う仕事を率先して行ない、教団内において自らの名で輝かれました。立派な方です。


 教団内の政治事情にも関心を示され、良き師に薫陶を受けています。9歳の時に光教団に出仕してより、早いうちから使命に目覚められたのです」


「9歳?! えっどういうことです、何でそんな頃から?!」


 なんでそんな小っちゃい頃から……? まだ小学生とかの頃から出仕、つまりは就職?!


「……ああ、もしやコバタさまの世界とは徒弟の制度が違うのでしょうか。


 こちら、この近辺では7-11歳ほどで職業見習いに出されます。これはどの身分でも関係ありません。


 そこで基本的な物事を修めて14-20ほどで連れ合いを持ち、出来にもよりますが25くらいですかな、その辺りで独立なり役職に就く形です。


 アーシェルティ様は実績と人望に長け、推薦を受け若くから役に就きました。確か17の時でしたかな、上等祭司の立場を得ています。異例の速さではありますがその後も充分にお役目を果たされています」


 ……あー、つまりは職場が学校替わりで、そのまま仕事に就く感じか。それにしても人生のスピード早いな、この世界。そういえばフィエのお爺ちゃんも割と若い。今の話からすると45-55くらいか。


「えっと、ちょっと本人に街にいた頃のこと訊き辛いので、割り込んで訊きたいんですが……ララさんってどんな感じなんです?」


「ライラトゥリア様は11歳で出仕、極めて学業優秀で12歳で魔法獲得の権利を得たと聞きます。わずか一年で実力を証明してみせたのです、年齢的にもとても早いです。本来、魔法習得は15以降となることが多いのです。


 あまりの俊英ぶりに、周囲からは遠巻きに憧れと畏怖の目を向けられていたとか。近付き難い存在だったようです。


 それから18になるまでひたすらに勉学と訓練、仕事に励まれました。主に治安維持の業務をされており、部隊指揮者の立場にもなっておられます。山賊討伐や密輸品の摘発で何度も功績をあげられておりますな。その際にわたくしとも何度かお話の機会がありました」


 ララさんバチバチに優秀なんだな。本人まったくその辺言わないから知らんかった。なんか都落ちしたみたいな雰囲気出してたから聞きにくかったし。


「じゃあ、アーシェルティ様と訓練したのはどの辺りで」


「アーシェルティ様が10歳。ライラトゥリア様は15歳から3年ほどですな。


 両者ともに才覚に溢れる存在ですからな。師弟でありながら良き……切磋琢磨の相手としても注目を浴びていたようです」


 ……自分の生きてきた社会と違うから上手く想像ができない。なんか早いんだろうなぁ的なことは察していたが、具体的に数字を聞いたのは初めてだった。


「それでアーシェルティ様は……うーん、その。何といいますか、ご本人はれっきとした女性で、身なりや態度も女性的な方ではあるのですが、時として激しく勇ましくもあり……」


 商人のおっちゃん、歯切れ悪くなったな。なんなんだ。


「アーシェルティ様に何かあるのでしたら聞きたいのですが」


「……男性にあまり興味を示されないというか、女性ばかりに執着されると言いますか」


 ……あ、ガチの人では。なんか言い辛そうにしているのはそれか。ってことはフィエに対しても、もしかしてそーなの。そーゆー感じなの?


 ……思えばララさんも、知ってた割にあまり話さなかったな。


「えーとその、もしかしてララさんとも何か噂とかあったりします?」


「……ご執着されたようで。ライラトゥリア様は全く気がなかったようですが。


 ライラトゥリア様が光教団を脱退し、メリンソルボグズから出られることになった際も、アーシェルティ様は強く引き留められたと聞きます。その際、普段見せない御様子で激しく言い争われたとか」


 ララさんの口が重かったのはそのせいか。でもララさんってフィエには割とその、性的なことをしているのだが、その人は好みじゃなかったのか。


 ……ララさん本人が話したがってなかったっぽいし、深掘りはやめておこう。


「先ほど言っていた……アーシェルティ様が激しく勇ましい、というのは?」


「……敵を叩き潰そうという執念は強い方です。政敵であるケルティエンズ様は御年55の老練な方ですが、それを相手取って手を焼かせるほどでございます。


 ある時の神聖会議における糾弾の激しさは、理路整然としていながらも苛烈で雷鳴の如く……語り草となるほどです」


 小さい頃からの叩き上げで真面目で気が強くて頭が良くて弁が立って執着系の百合っぽい人か……。なんかフィエやララさんには優しそうだけど、俺にはゴミを見る目の人だろうな。


 俺の表情を読み取ったのか、商人のおっちゃんは慌ててフォローした。


「あああ無論、普段からそのような激しいわけでも、男性を嫌悪されているわけでもありません。わたくしが間違った印象を与えてしまったようです。


 普段なら理性的でお優しく心配りが丁寧な方で、良い取引相手です。金勘定はきっちりされていますし、こちらへの付け届けなども頂けますし……。


 ……ただ彼女のこれまでの武勇伝から鑑みるに、お怒りになられると一番困る方でして、敵にはなりたくない方でして……。


 くれぐれも言いますが悪い方ではないのです。……味方と思われたのなら手を尽くして守って頂ける本当に良い方なのです」


「…………俺、敵視されていたりはしませんかね。フィエのことがあるし」


「……理性的な方です。最初から敵と見做されていなければ十分お話と理解を得られることかと思います」


 ……俺はとりあえず怖そうな部分は全部忘れることにした。アーシェルティと会ったときに、相手の態度に合わせればいいだけだ。


 敵視されていたらどうしよう、なんて会うまで考えても無駄だ。




 俺はアーシェルティの話はそこまでとし、次を促すこととした。


「それでは、ケルティエンズ様についてもお聞きしたいのですが」


「老練な方です。この国の首都にて名をあげられてからメリンソルボグズに来られました。そしてこちらで長い間、剛腕ともいえる政治手法を取られております。


 ……ただ、わたくしより少し年上ではあるのですが、そんな目から見ましても『古い理念』で動かれている方です。それがアーシェルティ様との軋轢の元でしょう」


「古い理念ですか、それはどのような?」


「まずは魔法使いに関して、その管理についてです。


 現在における魔法管理は、厳密であり良く統制されてきていると言えるでしょう。ケルティエンズ様は現在では傍流、といいますか近年では異端に近い」


 異端に近い……宗教だとしたらかなり重い言葉のような気がする。商人のおっちゃんは続ける。


「ケルティエンズ様は『放任・執行』の路線を取られています。


 これは魔法使いを厳密に管理せず自由にさせておき、問題を起こした者を体制側の実力者である『執行官』の独断により刈り取るという方式です。古い時代はこういった方式が取られることが多かった。


 しかし『魔法使い狩り』のコストは時代を追うにつれて大きく膨れました。また、手に負えない魔法使いを生み出して被害を出してしまう危険性があることから、現在の主流である『管理・裁決』を重んじる方向になってきております。


 『管理・裁決』は厳正なルールのもとに魔法を扱える者を管理していく路線です。積極的に魔法と関わろうとしない限り、覚える機会は得られません。魔法使いが犯罪や違反を行なった場合も、すべて裁判を通して刑を確定させています。


 しかし『管理・裁決』の弱点は、不自由を嫌って魔法使いを志望する者が減ること、言い換えれば信徒自体の減少にも繋がります。加えて裁判結果への不満や不信。魔法自体への無理解・無知による嫌悪感や畏れ。それらに対処するために別の形でコストがかかるといった点も課題になっております」


 なるほどなぁ、完璧な制度はないというわけか。


「時代に合わせた形態をとっているんでしょうね」


「そういうことでございます。


 ……そして、今回フィエエルタ様に関わってくるのが『献身』という政略結婚になります。こちらも古くからあるシステムです。


 光教団の内部から優秀な男女を選抜し、男であれば顧問として貴族に送り込み、女であれば結婚という形で教団との絆を深めるというものです」


 うーん、何とも典型的な感じの古いシステムとも言えるけれど……。


「フィエは光教団の信徒というわけではないですよね? なぜそうなるんです?」


「貴族との婚姻というものは、ある程度信用がないと成立しません。


 失礼ながらフィエエルタ様はただの村娘とも言えます。となると必要な信用が足りず、本来は愛人の立場にしかなり得ないのです。


 今回の目的は『入植者の開祖の血』というブランドを家に取り込むことです。そうなると正妻ではなく愛人という形で迎え入れるのは、そのブランドを支持する層を逆撫でしかねず政治的に逆効果です。


 そこで光教団が間に入って、フィエエルタ様の信用を保証し、古くからある政略結婚のルートで貴族様と婚姻できるよう取り計らうというわけです。


 ケルティエンズ様は、自身の派閥を後援する貴族を求めています。先ほどお話ししましたようにケルティエンズ様の派閥は衰退傾向にありますので……」


 まぁ、政略結婚ってそういうものなんだろうけど、とことんフィエがモノ扱いされている……。ここの線は絶対に潰さなくては。


「かつてはライラトゥリア様も『献身』による政略結婚を望まれていたようです」


「……?! ……あ、そういえば。あんまりはっきりとは言っていなかったけど」


 ララさんが初めて魔法を見せてくれた時に、そのようなことを言っていたのを思い出す。あれって政略結婚の話だったのか。


「ライラトゥリア様は……残念ながら選考に漏れたようでして」


「理由って分かりますか……?」


「まずはライラトゥリア様の覚えられた『灯虫』の魔法があまり求められません。これは灯りとしてだけでなく、制圧などにも使える魔法なのですが、結局のところ他の魔法で代替できなくはないのです。


 貴族様の傍に侍り、傷を負ったり病気を患った際は『癒しの帯』の魔法が求められます。つまりは能力の高い医者への需要です。


 次に『光の大爪』による市街防衛任務、これを能く果たした者は忠義心が高いと見なされて信頼されます。いざというときの防衛にも重宝されます。


 それと『献身』と名が表します通り、基本的にお相手貴族の御家のために尽力することが求められます。


 ライラトゥリア様はその……楽な暮らし、贅沢な暮らしをすることを目的と教団内で大きく公言されていたため、能力以前にさすがに不適格と思われたのでしょう。


 正直、その目的を持った方も確かに少なくない数いるのですが……あまり堂々と言っていいものではないのです……」


 ……ララさん。なんか悲し気な感じで『自分が選ばれなかった』的なことを匂わせていたけど、ただのアホだったのでは。…………いや、若い頃の失敗の経験は誰にでもある。俺だってそうだ。


 ケリルトンさんは続けて言う。


「先ほどお話したアーシェルティ様は『管理・裁決』の立場をとっておられ、なおかつ『献身』についても改案を求める立場です。


 現状の『献身』のシステムが信徒内での軋轢を生みかねないと」


「政略結婚については反対とか廃止希望というわけでもないんですね」


「彼女の御母上も『献身』で嫁がれた方ですので、そうは出来ないでしょう。


 加えて言いますと、『献身』に選ばれることを目的として入信する者や切磋琢磨する者がいるのも事実ではあるのです。


 また、しっかりと教育を受けて選ばれた信徒を家中に招きたいというのも貴族側から強く需要があります。良き助言者として機能し、領内の安定や発展、福祉に貢献する例は多いのです。


 決して不要なシステムではありません」


「……ララさんが強いのもそこで頑張ったから、なんですね。


 そうなると一概に悪いとも言えない。ただ、良くない点は変えていかなくてはならない、と」


「お分かりいただけて何よりです。昔の時代に良きこととされたものが不変というわけではございません。


 ……ですから、政争というものは厄介でして。


 時流というものはあれど、どちらにも利点・欠点がありますから、いくらでも言い争えてしまう」


 魔法使いの派閥争いというのは自分のいた社会にはなかったから、いろいろと新奇に感じるが、現実の政治というのもこんなものなのだろうか。


「……それで、ケルティエンズ様って風評はどんな感じですか」


「女癖が悪い、酒癖が悪い、下品、強引で無神経、といったのが、彼を嫌う人たちの挨拶代わりの愚痴ですな」


 典型的だなぁ……。想像しやすすぎる悪役じゃん。


「彼を好む方だと、女性に寛容、酒宴の主役、親しみやすい、リーダーシップがあるといった評価です。まぁそんなものです」


「俺にとっては、多分好きになれませんね」


 商人ケリルトンは苦笑いした。まぁ笑うしかないわな。




 一番俺にとって利害関係がありそうな相手についても聞いてみる。地教団の、キィエルタイザラ。


「……フィエにとても執心しているという地教団の方は?


 どんな感じなのですか」


「……失礼ながら、あえて申し上げます。


 わたくしはきっとあの方がフィエエルタ様をお迎えになると思っておりました。それほどに熱意が高い方です。


 また……3人の中では最もフィエエルタ様の幸せの為に行動されている方のように、わたくしには思えます。


 ……今はコバタ様がいるわけですから、4人の中で2番手でしょうが」


 ……おべっかだ。そう感じた。多分この商人は俺より上だと思っていそうだ。確かにララさんから聞いただけでも並々ならぬものを感じた。


「俺もフィエが好きですから、その方が一番の理解者であり敵だと思っています。


 ……相手は強いですか」


 商人ケリルトンは青褪めて言った。


「決して戦いなさるな。鍛え上げた地の魔法使いは恐ろしい。本当に地獄を見ることとなります。相手に戦意があると思ったらすぐにお逃げなさい。地の底まで追ってこられるにしても、戦って勝てるとは思えません。命あっての物種です。


 キィエルタイザラ様は国外の紛争地に度々支援に赴かれています。実戦経験は他のお二人よりはるかに多いのです。


 地教団は孤児院などの福祉施設を運営しているのですが、戦災孤児が多い紛争地帯などでは、現地の勢力と戦いながら保護活動を行なっています。


 ……その恐ろしき強さは、戦慣れした現役の兵隊からも恐怖の対象と捉えられていると聞きます。素早く近付き相手を肉塊へと変えていく、とのことです」


 クッソヤバい。ものすごく怖いこと言われた。これもう『太陽の矢』で不意打ちした方がいいんじゃないか。……いや、立派な人のようだし殺したくはないが。


「……そんな実力者なのに、強引な手段を取らなかったんですね」


「……これは噂程度の話ですが、キィエルタイザラ様はフィエエルタ様のお母様へ想いを抱えていらしたとか」


「えっ……?」


「飽くまで噂話です。ここだけの話として下さい。


 フィエエルタ様がお生まれになったばかりの頃はそのご両親も『キィエルタイザラ様が婚約し、やがて生まれるであろうご子息』との縁組を考えていらしたようなのですが、彼は独身を貫いて戦場での奉仕活動に励まれました。……一説には失恋の傷心からの逃避とも」


「……え、なんか込み入ってないですか。恋愛系のドロドロ話なんですか」


「キィエルタイザラ様はお若い頃から紳士的で……まぁ紳士的過ぎたんでしょうな。フィエエルタ様のお母様からは『平民にも礼儀正しい人格者、努力家、良き友人』としか思われていなかった御様子でして。


 ご出産後、何年か経って初めて気付かれて……それで歳の離れた婚約話となってしまったようです」


「……だからと言って『好きだった人の娘』と婚約しようというのはその……よくこんなトンデモナイ話が通りましたね」


「わたくしにもその辺りの経緯まではよく分かりませんでして。


 ですが、キィエルタイザラ様は今も努力して実績を積み続け、全てを相手取ってでもフィエエルタ様を守るという信念のもとに動かれています。


 ……まぁ、それが自分の役割ではなかったと、納得されるかもしれません」


「…………」


「…………」


 俺と商人のおっちゃんは黙り込んだ。


「フィエはその人に、婚姻相手として良い印象がなかったみたいなんですが」


「そんなものです、人生なんて」


 俺とおっちゃんはまたも黙り込んだ。……人生って厳しいなぁ。


「俺は、そんな人を相手取ったとしても、負けるとは思っていません。


 ……ですが、努力していて立派な方です。学ぶところは多いと思っています」


「……コバタ様は大丈夫でしょう。そう思えるのなら」


 ……せめて、この出来事は良い形で終わるように、俺が何より努力しなくてはならない。


 これもあの吟遊詩人が言う歌の一部なんだろうか。どうあれ、フィエが幸せなまま終わらない歌など、あってはならない。




 その日は街への途中にある村に泊ることとなった。すでに俺とフィエとの婚約の話は村長によって伝わっており、好奇の目で見られた。


 まぁ、割かし好意的というか興味津々というだけだ。それが悪意的なものでなくて良かったと心底ほっとした。


 ……さすがに、こんな落ち着かない環境ではフィエとの夜はお預けだったが。

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