障害年金はズルい?生きるための支えとしての重要性

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

私は障害年金を受給しながら生活をしています。一般就労が難しいため、現在はB型事業所に通っています。しかし、こうした生活について、他者から「ズルい」と言われたことがあります。その時の言葉は私の心に重く響きました。生活のために障害年金が必要な状況であるにもかかわらず、なぜ「ズルい」という言葉が出てくるのでしょうか。


一般就労が困難であるということは、自分でも理解しています。しかし、それによって人に同情してほしいとか、可哀想と思ってもらいたいわけではありません。ただ、現実として、私が自立して生活していくためには、障害年金が必要不可欠なのです。日本ではまだベーシックインカム制度が導入されておらず、一定の収入を確保する方法が限られています。一般就労が難しい人々にとって、障害年金は生きるための支えとして、社会的に非常に重要な役割を果たしているのです。


障害年金の意義と役割


障害年金は、事故や病気で働けなくなった人や、生まれつき障害を持っている人にとって、生活の基盤を支える重要な制度です。一般の年金制度と同様に、国民が生活の安定を保つためのセーフティネットとして設けられています。生活費の確保が困難な中で、障害年金があることで、日常生活や医療費などの支出をまかなうことができ、最低限の生活水準を保つことが可能です。


しかし、障害年金を受給するための審査は厳格であり、受給に至るまでの手続きも複雑です。また、精神障害などの目に見えない障害に関しては、申請が認められにくいという問題もあります。多くの人がこの制度に頼り、生活の糧としている一方で、社会的な理解が不足している現状が、受給者に対する偏見を生んでいるのではないでしょうか。


一般就労の難しさとB型事業所での役割


私が通うB型事業所では、就労に困難を抱える人々が集まり、自分に合ったペースで働くことができる環境が整っています。一般就労が難しい理由は、体力的な問題や精神的な負荷、また環境に適応することが難しいといったさまざまな要因があるからです。B型事業所では、それぞれの個々のペースを尊重し、支援員の方々が一人ひとりの状態を見ながらサポートしてくれます。


このような場があることで、社会とのつながりを保ち、自己肯定感を感じることができます。一般の職場で働けないことを「ズルい」と言われることもありますが、私たちにとってB型事業所は、生きるための手段であり、貴重な居場所です。決して怠けているわけでも、仕事を避けているわけでもないことを理解していただきたいのです。


ベーシックインカムの必要性


障害年金を受給しているとはいえ、生活には多くの不安がつきまといます。安定した収入が得られない状況で、日々の生活を維持するためにどうしても障害年金に頼らざるを得ません。こうした状況において、ベーシックインカムが導入されれば、障害を持つ人々だけでなく、社会全体にとっても大きな利益をもたらすのではないかと考えています。ベーシックインカムは、すべての国民に一定の収入を保証する制度であり、生活の基盤を支えるものです。


障害年金があるからこそ、最低限の生活を維持できている私にとって、ベーシックインカムが導入されれば、より安心して社会に参画できるようになるかもしれません。生きるために必要な収入が保証されることで、障害年金を受給している人が偏見や差別の目を向けられることも少なくなるでしょう。社会全体が福祉に対する理解を深め、互いに支え合う社会が実現することを願っています。


理解と共感を求めて


障害年金を受給し、B型事業所で働いている私たちの生活には、日々の努力や葛藤が存在します。決して「ズルい」わけでも、怠けているわけでもありません。私たちは、自分にできる限りのことをしながら、社会と関わりを持つために精一杯の努力をしています。障害年金は、生きるために不可欠なものです。こうした状況を少しでも理解していただければ、社会の中で共に生きていくことができると信じています。


このエッセイを通して、障害年金の意義や一般就労が難しい人々の実情について理解を深めていただければと思います。

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